◆JERA セ・リーグ ヤクルト3―2巨人(17日・神宮)
巨人は阿部慎之助監督(46)の執念も実らず、最下位のヤクルト相手に痛い星を落とし、連敗で借金1に後退した。同点の3回無死一、二塁で泉口がスリーバント失敗。
相手に傾いた試合の流れは最後まで戻せなかった。1点を追う9回2死満塁、坂本がカウント1―2から大西の低めの変化球に対して懸命にバットを止めようとした。だが、一塁塁審はハーフスイングでストライクの判定。空振り三振で試合終了となった。直前の8回の守備で2死三塁から三ゴロをファンブルし、勝ち越し適時内野安打を献上していた4番に最高の形で回ったが、あと一歩、及ばなかった。
試合後、阿部監督は「序盤に取れる点を取れなかったのが全てですね」と前半の拙攻に目を向けた。同点の3回、連打で無死一、二塁としたが、初回の好機で見逃しの3球三振に倒れていた5番・泉口が送りバントを3球ファウルにしてスリーバント失敗。直後の守備から泉口に代わり遊撃に門脇を入れた。「今日は戦力にならないなと思って代えました」。
同点の7回無死一塁では2番・佐々木が初球からバントの構えで見逃し、ファウルで送れず、ヒッティングに切り替えるも遊ゴロ併殺に倒れた。阿部監督は「バントだったり、そういう細かいことができなかったから。勝手に僕らが向こうに流れをあげちゃったっていうね」と厳しい表情。ヤクルト投手陣から8安打6四球も2得点と攻撃の効率の悪さが響いた。
主砲の岡本が不在の打線は、この日を含め直近13試合で12試合が3得点以下。得点力不足の状況で、いかに得点するか。そのためにはバントなどチーム打撃が重要になる。ナインも理解して練習でバントを入念に練習しているが、思うような結果が出ない。泉口は「今日は僕のせいで負けました」と敗戦の責任を背負うと、佐々木も「自分のミス。それで負けたようなものなので」と猛省した。
首位・阪神の試合が雨天中止で、勝ってゲーム差を0・5詰めたかったが、逆に開いて9差に。巨人はリーグ2位だが、再び借金1となり阪神にセの貯金独占を許している。最下位ヤクルトに痛恨の敗戦となったが、途中交代してベンチで悔しそうな表情を見せる泉口にベテラン長野が声をかけて励ます一幕があった。チームは一丸になって戦っている。
18日の休養日を挟み、19日からは東京Dで前半戦最終カードとなる阪神3連戦。細かいプレーの精度を上げなければ虎の尻尾は見えてこない。(片岡 優帆)