陸上の砲丸投げで厚真の大垣尊良(たから、2年)が、自己記録更新での初優勝を誓いに立てた。同種目で日本選手権2位の実績を持つ父・崇さん(41)が手作りした練習場で力を伸ばし、5月には初めて18メートルを超える18メートル08の自己新をマーク。
2度目の全国高校総体へ、大垣が明確に目標を掲げた。「今回は19メートルを超えられる自信がある。大会記録(18メートル74)を出して優勝したい」。5月の高校総体室蘭地区大会で18メートル08の自己ベストを出したばかりだが、1メートル伸ばせる手応えがある。昨年は右手首の痛みで半年間、砲丸を投げられなかったものの、総体直前に復帰して予選で16メートル65をマーク。決勝は16メートルで4位だったが、1年生ながら爪痕を残した。「もう体は問題ない」と頂点しか見ていない。
07年日本選手権の砲丸投げで2位となった父・崇さんが地元クラブで指導していた環境下で、厚真中央小4年時から砲丸を手にした。当初は並行していた柔道の「体づくり」で始めたが、記録が伸びていく楽しさにひかれていった。厚真中2年で体重が100キロに到達。
4年前、父が自宅横の畑を3か月かけ開拓して作った練習場で、朝晩に汗を流す。母が作る食事を練習後すぐにとれる最高の環境。「感謝です」と頭を下げた大垣は、練習メニューをほぼ自身で考える。「投げ方を自分で工夫してみたり、技を磨くことを第一に考えている」。崇さんは「環境は与えるが、ビッタリついて教えると僕の色に染まる。そうなると少なくとも僕は超えられない」と日本の枠にとどまらない可能性を信じ、見守ってきた。
投法は父と同じで、日本では少数の回転投げを受け継ぐ。「去年までは筋力だけを使って投げている感じだったが、今年は回転で得られる遠心力も使って投げられている」。最有力V候補に名乗りを上げ、父が01年に優勝した円盤投げでも昨年の国体を制すなど2冠も狙える位置にいるが「円盤だと風とかも影響する。一番実力が問われる砲丸の方が楽しい」と笑った。まずは大好きな競技で、表彰台の真ん中を勝ち取りに行く。
(砂田 秀人)
◆大垣 尊良(おおがき・たから)2008年9月1日、旭川市生まれ。16歳。厚真中央小4年から競技を始める。厚真中3年時の23年8月、全日本中学陸上選手権(愛媛)で16メートル53を記録し優勝。同年10月には中学歴代3位の16メートル93をマークした。息抜きは漫画で「ワンピース」がお気に入り。好物は母が作る「唐揚げ」。家族は両親、弟2人と妹。180センチ、123キロ。