◆第107回全国高校野球選手権秋田大会 ▽準々決勝 金足農9-0秋田西(18日・こまち)
秋田では、金足農が4強に進んだ。準優勝した18年夏の甲子園の準々決勝・近江戦で9回に逆転サヨナラ2ランスクイズを決めた、斎藤璃玖(りく)の弟・遼夢(りむ、2年)が先発で5回無失点。
“あの夏”が脳裏をよぎった。絶妙なコースに転がった白球がベースに当たったのを見て、金足農・斎藤は小さく左の拳を握りしめた。4回、押し出し死球で1点を先制し、なおも1死満塁。1ストライクからの2球目、サインは金農のお家芸、スクイズ。外角のボールにバットを伸ばした。打球は三塁線ギリギリへ。スタートを切っていた三塁走者がホームイン。結果的に内野安打となり、貴重な2点目をもぎとった。
打席に入る前、自軍ベンチがタイムをかけた。「緊張しすぎだと言われました」。
マウンドでも躍動した。カーブを低めに集め、5回を2安打無失点に抑えた。「春に明桜に打たれてからとにかく基礎からやり直しました」。春季県大会準々決勝で先発し、4回5失点。体重移動を見直し、体幹を鍛えて体のキレを養った。
次戦は20日、宿敵・明桜との対戦。「春に負けてから『明桜を圧倒して甲子園』を掲げてきた。次で集大成を」と吉田の目には闘志が宿る。兄たちの思いも背負い、再び旋風を吹かせる。(古澤 慎也)