【高校野球】「金農旋風」起こした２人の弟が無失点リレーにスクイズで４強進出 (2025年7月19日)

◆第１０７回全国高校野球選手権秋田大会 ▽準々決勝 金足農９－０秋田西（１８日・こまち） 秋田では、金足農が４強に進んだ。準優勝した１８年夏の甲子園の準々決勝・近江戦で９回に逆転サヨナラ２ランスクイズを決めた、斎藤璃玖（りく）の弟・遼夢（りむ、２年）が先発で５回無失点。４回にはスクイズも成功させた。当時のエースだったオリックス・吉田輝星の弟・大輝（たいき、３年）は、２回無失点だった。 “あの夏”が脳裏をよぎった。絶妙なコースに転がった白球がベースに当たったのを見て、金足農・斎藤は小さく左の拳を握りしめた。４回、押し出し死球で１点を先制し、なおも１死満塁。１ストライクからの２球目、サインは金農のお家芸、スクイズ。外角のボールにバットを伸ばした。打球は三塁線ギリギリへ。スタートを切っていた三塁走者がホームイン。結果的に内野安打となり、貴重な２点目をもぎとった。 打席に入る前、自軍ベンチがタイムをかけた。「緊張しすぎだと言われました」。今夏チームを引っ張るエース・吉田が先発を回避。背番号１０の斎藤はこの日が今夏初先発だった。さらに、緊張する理由はもう一つあった。「兄さんが兄さんなので」。兄は甲子園準優勝を果たした１８年夏、準々決勝の近江戦で９回に逆転サヨナラ２ランスクイズを決めた璃玖さん。この日もスタンドで観戦していたという「金農旋風」の象徴的存在に「変なプレッシャーがあった」と、周囲も心配するほど顔が引きつっていた。それでも「バッティングよりバントの練習をしてたので」と成果を発揮した。 マウンドでも躍動した。カーブを低めに集め、５回を２安打無失点に抑えた。「春に明桜に打たれてからとにかく基礎からやり直しました」。春季県大会準々決勝で先発し、４回５失点。体重移動を見直し、体幹を鍛えて体のキレを養った。投打で役割を果たした左腕は、同じく「金農旋風」の象徴の弟・吉田にバトンを託した。６回から登板した背番号１は、相手を制圧。最速１４４キロの直球にチェンジアップ、スライダーを交え、２回を無失点。「力んでいた」と不満げだったが、３番手・佐藤凌玖（りく、３年）とともに完封リレーを完成させた。 次戦は２０日、宿敵・明桜との対戦。「春に負けてから『明桜を圧倒して甲子園』を掲げてきた。次で集大成を」と吉田の目には闘志が宿る。兄たちの思いも背負い、再び旋風を吹かせる。（古澤 慎也）

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