◆第107回全国高校野球選手権京都大会▽4回戦 京都国際3X―2京都共栄学園=延長10回タイブレーク(18日・わかさスタジアム京都)

 気持ちで負けなかった。京都国際は0―0で迎えた延長10回、スクイズと中犠飛で2点を先行される。

なおも2死二塁。しかしマウンドに立ち続ける西村一毅(3年)は「自分が成長できる場だと心で感じた。気持ちを切らさず投げられた」と動じなかった。143球目の投球で空振り三振。プロ9球団が視察するなか、毎回の13個目の三振を奪い、反撃にかけた。

 その裏、左腕は無死満塁からバッテリーを組む猪股琉冴捕手(3年)の2点二塁打で三塁から生還。激しく雄たけびを上げた。「良くも悪くも、自分の行動一つでチームの雰囲気が変わる」。エース左腕の気迫の体現に勢いづいたチームは、サヨナラの押し出し死球で春の府王者を振り切った。

 昨秋と今春の府大会はいずれも1点差で敗戦。背番号1は「自分が軸にならないといけない立場」と自覚し、酷暑の夏に向けて肉体を追い込んだ。6月中旬は「ストライクが入らない。

変化球も曲がらない」とボロボロ。「感覚のズレを直そうと調整してきた」と2、3回戦の登板を見送って臨んだ今夏初登板だったが、「納得いく球ではなかった。浮いてしまう球が多く、制球が良くなかった」と、反省ばかりが口をついた。

 冷や汗の末につかんだベスト8。小牧憲継監督(42)は「全員の勝利。劣勢をものにする勝負根性が芽生えてきた」と目を細めつつ、「まだまだ発展途上で幼い。次のゲームが楽しみ」と伸びしろに期待した。西村は「粘り強く勝てたというのが成長。冷静に勢いに乗って、次の試合に臨みたい」と汗を拭った。(松ケ下 純平)

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