◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 「令和7年7月7日」。全て「7」の読み方が違う。

「ナナ」ネン、「シチ」ガツ、「ナノカ」。さらにこの日は七夕(タナバタ)でもあった。日本語は本当に難しく、そして奥ゆかしい。

 生活様式の変化により、言葉は時代に即した形に日々アップデートされていく。本紙では先般、サッカーの「ロスタイム」が常用語句から外れた。昨今の風潮に合わせて「アディショナルタイム」に変更された。

 「自殺点」がすっかり「オウンゴール」で定着したように、もっと言えば「スチュワーデス」という呼称が滅び「客室乗務員」になったように、ロスタイムなんて言葉、いつか誰も使わなくなるのだろう。他にも「キーパーチャージ」はルール改正で、「スイーパー」は戦術トレンドの変化で、「センタリング」はクロスの3文字で事足りることで、聞かなくなった。全員が走り回って当然の現代サッカーでは「ファンタジスタ」という概念も消滅してしまった。

 一方、新語も続々と誕生している。何となく意味が推察できる「ゲームチェンジャー」などはいいが、「ドグソ」(決定的な得点機会の阻止)などは市民権を得た言葉とは言いがたく、書き手側としては頭が痛い。

 サッカーの魅力を伝える側の人間が、難語の多用でサッカーと世間を分断してはならない。

他方、分かりやすさを追求する余り、死語を乱発してしまうのは論外だ。センスが問われる。

 ちなみに、死語という単語自体も必要以上のマイナスイメージにより、死語になりつつあるという。死語が死語、と。野球における「死球」も、そろそろ立場が怪しいかもしれない。(サッカー担当・岡島智哉)

◆岡島 智哉(おかじま・ともや) 2016年入社。高2の夏、小論文模試で全国1位も数日後、数学の定期テストは0点。

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