◆第107回全国高校野球選手権千葉大会▽3回戦 習志野6―0銚子商(19日・千葉県天台)

 「鏡の前で素振りしろ」銚子商には長嶋茂雄さんの教えが伝わっている。

 同校野球部OBで現後援会長の阿天坊(あてんぼう)俊明さん(77)は、1965年千葉大会準決勝で、中日一筋で2000安打を達成した谷沢健一さんを擁する習志野を破り、そのまま夏の甲子園で準Vを達成している。

卒業後は「長嶋さんに憧れていたから。打つ姿も投げる姿もかっこいい」と南海からのドラフト指名を蹴って立大に進学した。

 神宮でプロ野球と六大学の試合が重なった時には、ミスタープロ野球が指導に来てくれてたといい「スイングを見たときといったら、あの衝撃は忘れない」と当時の記憶を鮮明に語った。

 「今日も朝5時から選手たちにティーを打ってきた」と後援会長ながら練習のサポートも行う阿天坊さん。長嶋さんから「自分の姿は自分で触れろと、アドバイスを受けた。鏡の前で上裸になって素振りすれば、自分の肉体とバットの連動性がわかる」と伝授され、その教えを30年近くにわたって銚子商野球部に伝承してきた。

 沢田洋一監督は阿天坊さんのことを「生徒のこと、後輩たちのこと見てくれていて力になっている。長年銚子商を見てきた方が指導を仰いでいるので、選手たちも安心している」と全幅の信頼を寄せている。

 習志野は2023年の夏に12―0の5回コールドで負けた相手。今日もリベンジとはいかなかったが、9回まで戦った。長嶋さんの教えを胸に、古豪・銚子商は着実に復活ののろしを上げている。

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