◆第107回全国高校野球選手権 東東京大会 ▽4回戦 関東第一7―1東京成徳大高(19日・大田スタジアム)
昨夏の甲子園で準優勝した関東第一の大沢歩夢内野手(3年)が、東京成徳大高の最速145キロ左腕・上野陸(3年)に対し左右両打席で安打を放ち、3打数3安打1打点をマーク。守備でも三塁、中堅をこなし、捕手以外全ポジション対応のマルチぶりを発揮して5回戦進出に貢献した。
右打席で3回1死一塁から左前打を放ち、2点先制につなげると、5回無死一塁では捕手前のバントを俊足で安打に。さらに6回2死満塁では左打席に変え、遊撃に高く弾む適時内野安打で4点目をもたらした。元々は右打者で中学2年から両打ちに。「長打力は右の方があり、出塁率は左の方が高い」。相手投手の左右よりも「球種や状況に応じて、打席を変えています」。昨秋からベンチ入りしたが、今春まで背番号15の控え。夏に初めて1ケタの背番号5をもらい、チームとして固定できていなかった1番に抜てきされ、期待に応えた。
守っては三塁に加え、8回から中堅へ。米沢貴光監督(49)が「器用で内外野どこでも守れ、投手もできます。本職がどこか、僕も分からない」と評する万能型で、練習試合を含め捕手を除き全ポジションを経験。本人は「小、中学時代は捕手もしていました。出られれば、どこでもいい」と笑みを浮かべる。
投げても最速134キロ。グラブは内野手用、外野手用を持ち、「ファーストと投手の時は誰かに借ります。今大会はベンチ入りの右投手が石田(暖瀬)だけなので、もしもの時は石田にお願いします」。投手が足りない緊急事態では、この日7回1安打無失点と好投したエースに拝借するつもりだ。
昨夏の甲子園準優勝の時はスタンドで応援。東東京大会は練習の補助員としてグラウンドを体感したが、聖地は補助員を外れ、見つめるだけだった。「今年は甲子園に立ちたい」。遅れてきたユーティリティープレーヤーが脚光を浴びる。(雑誌『報知高校野球』取材班)