◆第107回全国高校野球選手権群馬大会▽3回戦 健大高崎7―0前橋工=8回コールド(19日・上毛新聞敷島)

 今秋ドラフト上位候補で、最速158キロを誇る健大高崎の右腕・石垣元気(3年)が、3回戦の前橋工戦で今夏初登板し、いきなり155キロをたたき出した。また、昨春のセンバツでエースとして優勝に導いた左腕・佐藤龍月(りゅうが、3年)が、左肘内側側副じん帯再建術(トミー・ジョン手術)から1年足らずでスピード復帰し、自己最速タイの147キロをマーク。

昨春、全国制覇の原動力となった二枚看板がそろい、盤石の布陣が整った。

 夏の主役が8回のマウンドに駆けていくと、スタンドから大きな拍手が降り注いだ。健大高崎のエースナンバーを背負った石垣元は、期待に応えるかのように今夏の初球から152キロ。フォークで空振り三振を奪い、最高のスタートを切った。

 「155キロ」―。続く打者の2球目に、今春センバツに聖地でたたき出した春夏の甲子園最速タイの数字を計時した。失策で出塁を許したが、後続を断ってコールドで8強進出。「まだまだ、いい投球はできると思う。球速はもっと上げられる」。高校での160キロ到達を狙う最速158キロの剛腕は、余裕の表情で言った。

 直球だけではない。2三振の決め球はフォークとカットボール。

「もともと自信はあるんですが、さらに自信がつきました」という通り、夏に向け変化球の精度を上げてきた。視察した広島・高山スカウトは「力感のないフォームで投げられるようになり、ボールを前で離すことができている。それにより、変化球を自在に操れるようになった」と、今秋ドラフト上位候補の成長に舌を巻いた。

 盟友の復活が励みになった。全国制覇した昨春のセンバツで「1」をつけた佐藤龍が、左肘手術を乗り越えて最後の夏に間に合った。2人が公式戦で同じマウンドに上がるのは、昨夏の群馬大会決勝以来。石垣元は「楽しかった。ブルペンを見ていて『やばいな』と。ストレートの威力が数段レベルアップしていて、びっくりしました」とうれしそうに笑った。

 連覇を目指したセンバツは準決勝で横浜に敗れた。健大高崎のグラウンドの掲示板には横浜の優勝を報じるスポーツ報知の紙面が貼られ、「この力の差を埋めるためにどうするべきか」との一文が添えられている。2年連続の群馬大会Vと、その先の日本一へ。

スケールアップした石垣元と佐藤龍が再び“両輪”となり、チームを頂点へと引っ張っていく。(浜木 俊介)

 ◆健大高崎の昨春のセンバツV 佐藤龍が背番号1、石垣元は背番号10。1、2回戦と準々決勝は先発が佐藤龍で石垣元へリレー。準決勝、決勝の報徳学園戦は逆のパターンで、全て2人の継投で勝ち上がった。佐藤龍は22回連続無失点と完璧な投球を見せ、石垣元は23回で自責5だった。

 ◆石垣 元気(いしがき・げんき)2007年8月16日、北海道・登別市生まれ。17歳。幌別西小1年で軟式野球を始め、登別西陵中では洞爺湖シニアに所属。2年夏から投手。健大高崎では1年春からベンチ入り。昨秋の関東大会で、2年生の史上最速記録となる158キロを計時。180センチ、78キロ。

右投両打。

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