プロボクシングの前IBF世界バンタム級(53・5キロ以下)王者・西田凌佑(28)=六島(むとう)=が19日、大阪市内の所属ジムで会見し、スーパーバンタム級に階級を上げて現役続行することを発表した。六島ジムのごろ合わせで午後6時10分から始まった会見。

西田は「(スーパーバンタム級は)井上尚弥選手をはじめ、強い選手ばかり。決められた試合を一戦一戦クリアして、まずは世界王者になりたい」と決意表明した。

 6月8日、WBC世界同級王者・中谷潤人(27)=M・T=との無敗サウスポー対決となった2団体王座統一戦(東京・有明コロシアム)で6回終了TKO負け。試合中に偶然のバッティングで右目周辺が大きく腫れ上がり、右肩も脱臼するなど試合続行不可能となり、陣営が棄権を申し出た。西田は不完全燃焼な形でプロ初黒星。「負ければ引退」とも考えていた中で「あの試合で辞めるのは後悔が残ると思った。あとは、ファンの皆様からの声が届いていて。『やめないでほしい』とか、『勇気をもらった』と言ってもらったりとか。他の人に勇気を与えられているやりがいを感じた」。負傷した右肩も手術には至らず、現役続行を決意。現在は安静期間として、自主的にランニングや筋力トレーニングに励んでいる。

 本人が「限界だと思っていた」と話す減量の負荷も軽減が見込まれる。

中谷戦で負った「右三角筋損傷」も過度な減量から「脂肪と筋肉がだいぶ減量の影響でなくなって、なってしまった。必要な筋肉も失ってしまっていたと(医師からは)言われた」と告白。「無理がなくなるのと、リカバリーの面でもすぐ戻って動きが良くなると思う」と、心機一転晴れやかな表情で話した。

 再起戦については肩や心身の状態によるため未定だが、枝川孝会長は「何月にできるのか分からないが、やるんだったら世界ランカーと」と発言。西田は「気持ちのある試合をしたいなとは思いますけど、まず勝たないといけないという気持ちもある。勝ちに徹したい」と、新階級での試合に意気込んだ。同級の4団体統一王者・井上尚弥(32)=大橋=との対戦にも「できる可能性があるならやりたい」と、燃えたサウスポー。再び世界の頂点を目指すため、新たなスタートを切る。

 ◆西田凌佑(にしだ・りょうすけ)1996年8月7日、奈良・香芝市生まれ。28歳。香芝中では陸上長距離選手。王寺工でボクシングを始め、3年時に国体フライ級優勝。

近大時代を含めアマ通算37勝16敗。2019年10月、タイでプロデビュー。24年5月にエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)に判定勝ちし、IBF世界バンタム級王座奪取。1度防衛。プロ通算10勝(2KO)1敗。身長170センチ、右利きの左ボクサーファイター。家族は近大ボクシング部同期で元アマ全日本女子王者の妻・沙捺さん(旧姓・河野)と1女。

編集部おすすめ