巨人のファーム選手の今を伝える「From G」。第11回は育成の代木大和投手(21)。

2年目の23年に1軍で13登板した左腕は、昨年4月に左肘内側側副じん帯再建術(トミー・ジョン手術)を受けた。育成契約の今季は1年11か月のリハビリを経て6月17日の3軍戦で実戦復帰し、13日の2軍戦では自己最速タイの155キロをマーク。スケールアップして帰ってきた有望株が、復帰への歩みと今後の目標を語った。(取材・構成=加藤 翔平)

 トミー・ジョン手術を経験した代木が、たくましさを増してマウンドに戻ってきた。6月17日の3軍戦で実戦復帰すると、13日のイースタン・日本ハム戦(いずれもG球場)で自己最速タイの155キロを計時。2、3軍戦で6登板し、計6イニング無失点と順調な再スタートを切った。

 「登板間隔も短くなってくる中で投げられているので、次のステップに来ているな、と。登板を重ねるごとに感覚も良くなっていますし、上のレベルでやるための下準備はできている」

 昨年4月に左肘を手術。約4か月、投げることができなかった。高卒2年目の23年に1軍で13登板し、第一線のレベルを肌で感じたからこそ、2年近いリハビリ期間は常に不安だった。

 「『今後投げられるようになるのかな』『この練習量やトレーニングで、復帰した時に成長した姿になるのかな』と。不安が大きくてメンタル的にしんどかった。

ボールを投げられるようになってからは、うれしさと楽しさがあってメンタルも安定してきました」

 つらく長いリハビリ期間を自分を見つめ直す機会と捉え、無駄にはしなかった。復帰後を見据えた肉体づくりを進めるにあたり、トレーニングコーチや栄養士と積極的にコミュニケーションを取った。

 「何が足りないのか考えて、出力に耐えられる体がないなと。筋力面、パワーが全然足りないと思って、体重増加やフィジカル面に重点を置いた。食事面は小麦粉を取らないグルテンフリーを取り入れ、主に和食で体づくりしようと。手術してから9キロ体重が増えた。自分の中で整理してリハビリに取り組めたことが、出力アップにつながっている」

 プロ入り直後の最速は143キロだったが、打者の手元でカットボール気味に曲がる真っスラ「シロキボール」を武器に1軍デビュー。術前に最速151キロだったMAXは現在155キロに。進化の過程で感覚に変化が起きた。

 「真っスラはもうしないですね。投げる感覚が変わったので。真っスラに戻そうかなっていう時期もあったけど、やってみたら投げ方がぎこちなくて。

今の自分の体や肘の状態に合っていないな、と。前の感覚は捨てて、新しい自分の球を作ろうと思いました。真っすぐを自信を持ってゾーンに投げられているので、変化球も生きている」

 目標は157キロに設定している。

 「決めたのは手術前ですね。157キロを投げるためにトミー・ジョンをして、トレーニングするって決めた。155キロより157キロの方が見栄えがいいっていうか、パンッて思い浮かんだんですよね。球速が全てではないですけど、スピードにコントロールがつけば鬼に金棒だなと思って」

 支配下登録の期限は7月末だが、そこは通過点。目指す場所は1軍のマウンドだ。

 「しっかり調整して、いい準備をしたい。いい感覚で投げられる自信もあるし、制球力さえつけば1軍でも通用する球を投げられる自信もある。この7月で結果を残して、支配下に戻れるように頑張りたい」

 一回り大きくなった体と自信を手にした代木が、スケールアップして1軍の舞台に戻る。

 支配下登録の期限は7月末だが、そこは通過点。

目指す場所は1軍のマウンドだ。

 「しっかり調整して、いい準備をしたい。いい感覚で投げられる自信もあるし、制球力さえつけば1軍でも通用する球を投げられる自信もある。この7月で結果を残して、支配下に戻れるように頑張りたい」

 一回り大きくなった体と自信を手にした代木が、スケールアップして1軍の舞台に戻る。

 ◆代木 大和(しろき・やまと)2003年9月8日、愛媛県生まれ。21歳。明徳義塾ではエースとして3年春夏の甲子園に出場し、夏8強。21年ドラフト6位で巨人入団。23年に10代の投手として球団22年ぶりに開幕1軍入りして13登板、0勝0敗、防御率5.40。24年4月に左肘を手術し、今季から育成契約。184センチ、102キロ。左投左打。

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