◆第107回全国高校野球選手権大阪大会▽3回戦 浪速7―5明星(19日・くら寿司スタジアム堺)

 大阪では、継続試合で2戦連続の劇的なドラマが起きた。18日に、1点を追う9回表2死で降雨のため決着が持ち越された公立進学校の天王寺が、その裏の2死走者なしから佐野に逆転サヨナラ勝ち。

7回から再開した2試合目は、2点を追う浪速が9回2死一塁から5連打4得点で、明星に逆転勝利した。

 2点を追うラストイニングに奇跡を起こした。崖っぷちに追い詰められた浪速は9回2死一塁から旭祐輝左翼手(3年)の左前安打を手始めに、5連続長短打で一挙4得点。逆転の2点二塁打を中越えにはじき返した関口勝正捕手(3年)は「この夏は絶対に自分が逆転の場面で決めるっていう気持ちで練習してきた」と胸を張った。

 昨秋に元阪神の遠山昭治氏(57)から指揮官の座を受け継いだ井上雅文監督(47)は市岡のエースとして95年のセンバツに出場。高校時代はPL学園・福留孝介(元中日、阪神)らと熱戦を繰り広げた。「PL学園との試合で1勝、1アウトをとることの難しさを教えてもらった。普段の練習が結果に結びつくと生徒たちに伝えている」。厳しい経験談が土壇場でナインの力に変わった。

 直前の試合でも天王寺が継続試合で9回2死無走者からサヨナラ勝ち。関口は「天王寺は9回から1イニングで逆転。自分たちは7回から3イニングもあるんだから絶対できる」と自らに言い聞かせた。

驚異の粘りで旋風を起こし続ける。(藤田 芽生)

編集部おすすめ