◆JERAセ・リーグ 巨人0―4阪神(19日・東京ドーム)

 会心の“確信歩き”だ。左翼席の虎党が狂喜乱舞するお祭り騒ぎの中、阪神・佐藤輝明内野手(26)は悠然とダイヤモンドを回った。

0―0で迎えた延長11回1死一塁。「うまくアジャストできた」と船迫の低めに沈む変化球を豪快にすくい上げ、右中間席上段まで運んだ。両リーグトップで、自己最多を更新する勝ち越しの25号2ラン。「最高の場面で(本塁打が)出た。これ以上ない気持ち」と余韻に浸った。

 12球団最多の64打点。打率はセトップの岡林(中日)と1分差の2割8分7厘で3冠王も射程圏だ。理想像として重ね合わせるMLBの強打者たちは、ドジャースの大谷やフリーマン、フィリーズのハーパーと自身と同じ右投げ左打ち。利き手の違いでボールへの力の伝え方など「もちろん違うと思う。今どこに力がかかっているか」と映像を見ながら研究。飽くなき向上心が進化を加速させている。

 プロ1年目と3年目に記録した24本塁打を、前半戦だけで上回った。

「この時期に達成できるのは、本当に自分でもよくやっている」と自賛したが、「通過点でしかない。もっと打ちたい。25本を目標にしてきたわけじゃない」と先を見据えた。本塁打王に輝けば、球団では1986年のバース以来だ。

 今季20度目の完封勝利を収め、1リーグ時代を含めて巨人戦通算900勝(1131敗77分け)。首位を独走するチームは連敗を「2」で止め、7試合を残して7月の月間勝ち越しが確定した。2位・巨人とのゲーム差を今季最大の10とし、優勝マジックは最短で27日に点灯。真夏のVロードを突っ走る。(中野 雄太)

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