◆第107回全国高校野球選手権南北海道大会 ▽準決勝 札幌日大3―2札幌大谷(19日・エスコン)
南北海道大会の準決勝2試合が行われた。昨夏王者の札幌日大は、3―2で札幌大谷を下し、2年連続の決勝進出。
救世主の活躍で、札幌日大が連覇に王手をかけた。9回2死。最後の打者を遊ゴロに打ち取った島田は、右拳を握り感情をあらわにした。「いつも通りの役割を全うするという気持ちで、気合を入れて投げることができた」。自己最速を2キロ更新する146キロをマーク。2回1/3を無失点に抑え、勝利を呼び込んだ。
汚名返上への登板だった。1回戦の北海道栄戦で3回を無失点に抑えたが、帯川拳誓主将(3年)は「去年甲子園で投げていた島田とは全然違った。上に上がれば上がるほどあいつの力が必要になるので、『そのピッチングでは信頼されない』と言いました」。普段は仲の良い同級生から、高校入学後初めて浴びせられた厳しい言葉。弱気だった投球を見つめ直した。
この日の出番は同点に追いつかれ、なおも7回2死一、二塁のピンチで巡ってきた。公式戦では初めて立つエスコンのマウンド。交代直後に帯川からかけられた「気持ちだぞ」という言葉を胸に刻み、右腕を振った。味方の失策で満塁となったが、後続を打ち取りピンチを脱出。気迫のこもった投球で勝ち越しを阻止した。
8回の攻撃では、1死から代打・久保友弦(ゆいと、2年)が右前打で出塁。代走の吉田徠杜(らいと、3年)が次打者の初球で盗塁を成功させると、今夏初打席の島田が2死二塁でバットを握った。暴投で走者が三塁に進んだ後、体勢を崩されながらも、太もも周り60センチのたくましい下半身で外角のフォークに食らいつき、左翼線への適時二塁打。途中出場の3選手で決勝点をもぎ取り、森本琢朗監督(44)も「後ろから行く子には救世主だと言い続けてきた。まさに今日の試合は救世主になってくれた」と絶賛した。
同校としては初めての2年連続決勝進出。連覇を懸けて戦う相手は北海だ。
(島山 知房)
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札幌大谷はあと1点が届かなかった。7回に5安打を集中し2点差を追いついた。しかし追い越すことはできず、8回に決勝点を奪われた。五十嵐大監督(38)は「勝たせてあげられなかったのは申し訳なかった。ただやってきたことは、追いついた回にいい打球が飛んでいたので、選手たちはよくやってくれた」と言葉を詰まらせた。
1つのボールが集中打を呼び込んだ。新チーム発足時、1つの新球を使い全員でノックを受け、雨の中でボールを追いかけた。最後はドロドロになったそのボールを、この日のベンチに持ち込んだ。「そのボールで執念というか気持ちというか、そういう話をした回だった」と指揮官。
2年生が3人、1年生も1人がスタメン出場。8回途中まで138球の熱投を見せたエース右腕・岩渕英晃(3年)は「強いんで甲子園に行ってくれると思います。期待しています」。経験を積んだ後輩たちに、思いを託した。