◆第107回全国高校野球選手権南北海道大会 ▽準決勝 北海8―3駒大苫小牧(19日・エスコン)

 南北海道大会の準決勝2試合が行われた。春季全道大会優勝の北海は、今夏初スタメンの1番・佐藤瞭磨主将(3年)が適時打を放つなど、駒大苫小牧の好投手・寺田七将(3年)を攻略。

8―3で勝利し、全国最多41度目となる夏の代表切符獲得に向け、2年ぶりの決勝進出を決めた。

 快音を残した打球を見ながら、北海・佐藤は一塁へ走り出した。打球が左翼手の頭上を越えると、二塁を回ったところで冷静に一塁走者の生還を見守った。6回、リードを3点に広げ、なおも2死一塁から、ダメ押しの適時二塁打。「我慢の展開が続いていた。ピッチャーも頑張っていたので、1点欲しい場面で何とか打てました」と振り返った。

 右肩の故障があり、今大会初スタメン。2番や5番が多かった打順は、公式戦では初の1番だった。初回先頭では駒大苫小牧の先発・寺田から11球粘ると、2回には1死三塁からスクイズを成功。5、8回には四球で出塁し、2打数1安打2打点と役割を果たし「自分がしなければいけない仕事をしっかり考えて、遂行できた」と胸を張った。

 痛みに耐えてグラウンドに立っている。昨年の新チーム発足直後、紅白戦の守備時に飛び込み、右肩を亜脱臼。

そこから繰り返すようになり、今春の全道大会で5度目の亜脱臼。反復性亜脱臼と関節唇損傷と診断を受けている。「手術したらこの夏が間に合わないので、だましだましやってる感じです」。数日前に痛み止めの注射を打ち、薬も服用。手術を先延ばしにし、最後の夏に懸けている。

 兄弟の悲願でもある。長男・大哲さんは駒大苫小牧で主将を務めたが甲子園出場はならず。次男・彰哉さんは23年夏の甲子園で北海の記録員としてベンチ入りしたが、選手としてグラウンドに立つことはできなかった。「兄が甲子園の地に選手として立てなかったっていうのはもちろんありますし、自分が何とか結果を残して甲子園に立ちたいという思いは人一倍強い」と思いを明かした。

 昨秋は全道大会決勝で敗れ、センバツ出場ならず。春は全道優勝を果たし、3季連続で決勝まで駒を進めた。「去年の秋、決勝で悔しい思いしたことを忘れずやろうと声を掛けると思いますし、何とか明日勝って甲子園を決められるように頑張りたい」と佐藤主将。

痛みももどかしさも、耐えてきたのはこの日のため。つないでくれた仲間への感謝を胸に、あと一つをつかみ取る。(山口 泰史)

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  駒大苫小牧の佐々木孝介監督(38)は両膝に手をつき、がっくりと肩を落としてつぶやいた。「悔しいな」。夏の甲子園連覇から20年目。18年ぶりの夏の甲子園を目指し、ノーシードから勝ち上がった戦いは準決勝で幕を閉じた。

 大黒柱が誤算だった。準々決勝まで27回2/3を連続無失点中だったエース左腕・寺田が、初回に2四球を与えるなど2失点。同点の4回はスクイズ、5回は自身の暴投で追加点を献上した。6回には4安打を浴びてさらに3点を失い、6回途中8失点で降板。指揮官は「想定外。自分の中でもイメージのない投球。

四球がすべて点数に絡み、暴投で簡単にランナーが進む。しょせんそこまでなんです」と振り返った。

 寺田は、大学で野球を継続する予定。「この試合は忘れられない試合。大学までに進化して、目標に向かっていきたい」と次のステージを見据えた。

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