◆第107回全国高校野球選手権 静岡大会 ▽3回戦 浜松商6―1浜松西(19日・草薙球場)
浜松商は浜松西との伝統校対決を6―1で制した。
浜松商を3年連続4回戦に導いたのは、守備職人の8番打者だ。
2安打3打点をマークして「結果が出て素直にうれしい」と照れ笑い。1回1死の守備でゴロを捕球すると、一塁への送球がそれた。この失策で出た走者が先制のホームを踏んでいた。ミスを帳消しにする活躍に戸塚和也監督(52)は「職人肌で派手さはない選手。珍しくガッツポーズをしてましたね」と目を丸くした。
チームに体調不良者が出た吉原工との初戦は遊撃でスタメンだった。この日は1年秋にレギュラーをつかんだ二塁へ戻った。グラブは小学5年の時から愛用する。「次の試合も自分の結果よりチームに貢献するプレーをしたいです」。ヒーローの伏兵は、どこまでも控えめだった。
(武田 泰淳)
〇…浜松西は8回1死一塁、代打・中村莞大捕手(3年)が木製の「魚雷バット」を素手で握り、左前安打を放った。4月にアマ球界でも使用容認が通知されており、3週間前から金属バットより軽い830グラムを試すと「スムーズにバットが出る」と好感触。春先からの右肩痛が影響し、今夏の初打席で「チームを勇気づけようと、あの1打席に懸けていました」。反撃は届かなかったが、魂がこもった一打だった。
〇…昨夏の県王者・掛川西は延長11回タイブレークの末、城南静岡を5―2で振り切った。11回1死満塁から桑原拓海中堅手(3年)のスクイズで決勝点をもぎ取った。その時点でチーム安打はわずか2本。大石卓哉監督(45)は「次があるので練習しますが、あれじゃ情けない」と渋い表情。主砲・石川大峨三塁手(3年)が初戦直前に左手有鉤(ゆうこう)骨を骨折。打線を模索しながら、しぶとく勝ち上がっていく。
★城南静岡・中込皇絆投手(掛川西相手に先制打と延長11回151球完投も敗戦)「今までで一番楽しい試合ができました。今日のために、ここまでやってきました」