◆第107回全国高校野球選手権大会第2日 ▽1回戦 沖縄尚学1―0金足農(6日・甲子園)
紫に染まった一塁側の金足農アルプス席。その最前列でじっと戦況を見守っていたのが同校の工藤雅文校長だった。
自身は秋田市立(現秋田中央)で甲子園出場を目指したが夢はかなわず。早大卒業後、秋田県の高校教員になると母校の監督などを務め、県高野連の役員としても活躍した。16年からの3年間は理事長を務め、社会人野球の指導者を招くなどレベルアップに尽力。その成果もあって18年には金足農が夏の甲子園で準優勝を果たした。
その金足農の校長に23年から就任する巡り合わせで、昨夏、今夏と同校史上初めて2年連続の甲子園出場。自身としても“2年連続出場”となった。「本当に感謝ですよね。7年前は(レギュラー)9人しか試合に出ていなかったのに、その時に比べたらいろいろな選手が活躍している」と穏やかな表情で語った。
今年度で役職定年を迎えるため、校長として夏の甲子園で応援できるのは最後となった。この日の試合前には選手に「頑張れ」と一言だけ激励したという。チームは惜敗したが、選手の活躍、秋田から駆けつけてアルプス席を埋めた約250人の生徒、保護者、関係者の応援が心にしみた。