◆第107回全国高校野球選手権大会第3日 ▽1回戦 広陵3―1旭川志峯(7日・甲子園)

 3年ぶり出場の旭川志峯(北北海道)は、広陵(広島)に1―3で敗れた。1997年から初戦8連敗。

93年以来32年ぶりとなる甲子園での勝利を逃した。先発の背番号「10」大渕蒼空(そら、3年)が6回2失点(自責1)と好投。打線は4回1死三塁から5番・石田健心三塁手(3年)の中前適時打で先制するも、6回以降無安打無得点に抑えられ、現校名での甲子園初勝利には届かなかった。

 32年ぶり、そして旭川志峯としての初勝利は、北海道勢の宿敵に阻まれた。相手は、試合前までに道勢が春夏通じて0勝5敗だった広陵。先制するも、中盤以降は相手のエース右腕・堀田の直球とチェンジアップに翻弄(ほんろう)され、山本博幸監督(45)は「(打線が)1巡、2巡して弱いところがわかって、そこを突かれた。それに対応する能力がうちにはなかった」と淡々と振り返った。

 指揮官が「崩したところを見たことがない」と、先発を託したのは背番号「10」の大渕。北北海道大会決勝で184球完投した河合悠希(3年)の熱投をベンチから見つめていた右腕は「ああいうピッチングを見たら自分もやるしかない」とマウンドに上がった。

 猿払村から駆けつけた父・英樹さんや、旭川大高OBで22年夏の甲子園に正捕手として出場の兄・路偉(ろい)さん(北海学園大3年)ら家族が見守る中でのマウンド。1回から打たせて取る持ち味を発揮し、序盤3回を無失点。4回に味方の失策、6回に犠飛で1点ずつを失ったが、強豪相手に堂々の投球を披露した。

大阪桐蔭に敗れた(3●6)兄と同じく白星には手が届かなかった。「勝ちたかったというのが一番」と悔しい思いを口にしながらも、「甲子園のマウンドは気持ち良かったです」と涙は見せなかった。

 旭川志峯は23年4月に校名変更され、現3年生は同校名1期生として入学した。校名が変わっても過去の先輩が築いてきた歴史、思いを忘れないために、山本監督は個人のバッグや練習着に「旭大高」「KYOKUDAIKO」の文字を刻んだ。北日本学院、旭川大高に続く聖地1勝は逃したが、1安打の1番・熊野瑠威左翼手(3年)は「後輩たちがやってくれますよ」。伝統の夏の強さを引き継ぎ、春地区予選敗退から駆け上がってたどり着いた大舞台。93年以来の1勝は、次世代に託された。

(島山 知房)

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