◆プロボクシング ▼WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 井上尚弥―ムロジョン・アフマダリエフ(9月14日、名古屋・IGアリーナ)

 トリプル世界戦の前日計量が13日、名古屋市のIGアリーナ・サブアリーナで行われた。世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(32)=大橋=は、勝てば史上最多の5度目の4団体統一王座防衛となるWBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30)=ウズベキスタン=との大一番へ「1ラウンドからヒリヒリする展開になる」と予告した。

3度目の防衛に臨むWBO世界バンタム級王者・武居由樹、WBA世界ミニマム級王座決定戦でともに世界初挑戦する同級1位・高田勇仁と同級2位・松本流星も、それぞれ計量をクリアした。

 尚弥が極限まで仕上げたボディーを披露すると、有料一般公開で集まった1429人がどよめいた。着ていたTシャツを観客席に投げ入れて体重計に乗り、リミットより100グラム軽い55・2キロでクリア。ガッツポーズを作ると、歓声が一段と大きくなった。国内では自身初の公開計量に「盛り上がりましたね。(テンションは)いつもと段違いですね」と声を弾ませた。

 計量後のフェースオフでは、鼻先がくっつきそうなほどアフマダリエフと接近。約12秒間にらみ合うと、尚弥がニヤリと笑みを浮かべて握手で別れた。「(笑みに)意味はないですけどね。この試合へのモチベーションが高かったり、楽しみもあって、自然と出たと思う」と説明した。

 「キャリア最大の強敵」との一戦を控え、「久々ですよね、この感じは」と高ぶる気持ちを打ち明けた。難敵とされた23年7月のスティーブン・フルトン(米国)戦、24年5月のルイス・ネリ(メキシコ)戦を引き合いに出し「それ以上。

実力的にはここ一番評価しているし、モチベーションを引き立てている」と話した。

 英大手ブックメーカーのウィリアムヒルは、尚弥勝利に1・10倍、アフマダリエフ勝利に7倍のオッズを設定した。尚弥のスーパーバンタム級転向後、最もオッズが接近したのは転向初戦のフルトン戦。挑戦者だった尚弥の勝利が1・28倍、WBC・WBO統一王者フルトン勝利が3・75倍だった。同級王者となってからの5戦は、尚弥勝利がほぼ“元返し”の1・02~1・06倍。フルトン戦以来の掛け率となったが、圧倒的有利予想は揺るがない。

 「あしたは(今までと)違う井上尚弥と、生き生きして楽しそうな井上尚弥と、両方見られると思う」と胸を躍らせ、「1ラウンドからヒリヒリする、楽しい、緊張する展開になると思う。自分もそこを楽しみながら戦いたい」と予告。ゴングから目が離せない一戦となる。(勝田 成紀)

 ◆井上尚弥のフルトン、ネリ戦VTR

 ▽23年7月25日(有明アリーナ) スーパーバンタム級転向初戦の尚弥が、無敗のWBC・WBO同級統一王者・スティーブン・フルトン(米国)に挑戦し、8回1分14秒TKO勝ち。フルトンは今年2月にWBC世界フェザー級王座を獲得。10月には3階級制覇を懸けWBC世界スーパーフェザー級王座に挑戦する。

 ▽24年5月6日(東京ドーム) スーパーバンタム級4団体統一王者の尚弥と、元2階級制覇王者のWBC同級1位ルイス・ネリ(メキシコ)が対戦。尚弥は初回、ネリの左フックでプロ初のダウンを喫したが、2、5、6回に3度のダウンを奪い返して6回1分22秒TKO勝ち。ネリは今年2月の再起戦で亀田京之介に7回TKO勝ちしている。

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