大相撲秋場所4日目(17日、両国国技館)

 東前頭2枚目・伯桜鵬が先場所で初金星を挙げた横綱・大の里を突き落とし、2場所連続の金星を獲得した。横綱・大関戦を終えて2勝2敗。

目標に掲げる年内の新三役へ、真っ向勝負で突き進む。横綱・豊昇龍は西前頭筆頭・阿炎を押し出し、関脇・霧島とともに無傷の4連勝。宇良、竜電が初黒星を喫し、平幕勢の全勝はいなくなった。

 伯桜鵬に迷いはなかった。立ち合いで大の里にもろ手で突かれたが、構わず前に出て中に飛び込んだ。右の上手を取られたが、動きを止めずに振りほどき、詰められても攻めの意識を持ち続けた。土俵際、豪快な突き落としで逆転。「絶対に引かないと決めていた。最後まで諦めない気持ちが勝ちにつながった」。2場所連続で大の里からの金星獲得にどよめきと歓声に包まれた館内。伯桜鵬は涼しい顔で受け止めた。

 新入幕の23年名古屋場所で優勝争いに加わり、「令和の怪物」と注目を浴びた。

その後はけがに苦しみ、幕下転落も経験したが、8場所ぶりに再入幕した今年1月の初場所から4場所連続で勝ち越し。自己最高位の東前頭2枚目まで番付を上げた。復活から進化へ。22歳の怪物の背中を力強く押したのは、7月に伊勢ケ浜部屋を継承した伊勢ケ浜親方(元横綱・照ノ富士)の言葉だった。

 伯桜鵬はこれまでの自身は、目先の結果にとらわれていたと反省する。「毎日勝ちたい。お客さんにかっこいいところを見せたい」。気負う姿を見かねた師匠から「今の相撲では勝てない。周りの目、結果ばかり気にするな。2年後、3年後を見据えてやっていこう」と助言を受けた。強くなるには正攻法を磨くことが一番という教えを実践した。迷いが消え、攻めの相撲を磨いて貫く覚悟が決まった。

 今場所は初日から出足の鋭さが光る。横綱・豊昇龍、大関・琴桜には立ち合いで真っ正面から当たって黒星も、2番とも師匠に「いいぞ」とほめられたという。横綱・大関戦を終え、2勝2敗の五分と堂々のスタートを切った。「4日間、自分との勝負に負けなかった。千秋楽まで攻め続ける」。師匠との約束を守り続けた先に、新三役が見えてくる。(林 直史)

 ◆初金星から2場所連続で金星獲得した例 友風が19年名古屋場所で鶴竜から初金星を挙げ、同秋場所でも同じ相手から金星。貴景勝は17年秋場所に日馬富士から初金星を獲得し、同九州場所で同じ相手から金星を挙げた。

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