◆SMBC日本シリーズ2025第4戦 阪神2―3ソフトバンク(29日・甲子園

 「SMBC日本シリーズ2025」は甲子園で第4戦が行われ、ソフトバンクが3―2で阪神を振り切り、3連勝で5年ぶりの日本一に王手をかけた。山川穂高内野手(33)が2回、3試合連続本塁打となる先制ソロ。

短期決戦の流れをたぐり寄せ、柳町の犠飛と代打・近藤の適時打で加点した。阪神は佐藤輝明内野手(26)が8回、1985年のバースを超える球団新記録の日本シリーズ(S)初戦から4試合連続打点を挙げるなど2点を返したが、一歩及ばなかった。

 連夜の「どすこい!」が敵地を黙らせた。日本SでMVPレースを独走する4番の大活躍で、ついに王手。2回先頭、山川が148キロを振り抜いた。バックスクリーンへ3試合連続のアーチ。「(過去に)打っていた時と似ている。感覚は練習から非常にいいし、日本シリーズが終わっても『これはいいんじゃないか』という状態でオフを迎えられる」。完全によみがえった大砲の先制弾で、日本一へ加速した。

 日本シリーズの3戦連発は史上最長タイの6人目。球団では、00年の城島(ダイエー)に続く2人目だ。「バースさんも? なかなか、いかついメンバーでうれしい」。

不振の今季は不動の4番の座も失った。日本シリーズの第1戦もスタメンを外れたが、第2戦から大爆発した。第1戦の代打を含め、9打数4安打7打点。5四球の出塁率6割4分3厘で「シーズンは何もない、すっとこどっこい。でも最後に、一時でも(絶好調が)来たのはうれしい」と心から喜んだ。

 相手の配球も「意識しない。残りわずか。自分の技術に集中できている」と迷いはない。第2戦の試合前練習で好感触をつかんだことは明かしつつ、理由は秘密。普段は丁寧に解説するタイプだが「あしたも試合があるから内緒。もうすぐ終われば話せる」と“完全集中”を保った。小久保監督も「一戦必勝、やることは変わらず」と表情を引き締めたまま。

4連勝でのゴールを「もちろん、そのつもりでやる」と宣言した。

 2勝1敗から王手をかけたチームは過去25度のうち、24度が頂点に立っている。日本一確率は96%だ。ヒーローは昨年、初めて日本シリーズを経験。第2戦の本塁打で連勝に導いた後、まさかの4連敗を喫した。「日本一の景色を見てみたい」と願ってきたが「もう、あしたの1打席目からまた頑張ることしか考えていない。全く打てなくても勝てばいい」と目がキラリ。自身のバットで悲願へ猛進するだけだ。(安藤 理)

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