現役引退を発表し、来季から西武に打撃投手として復帰する見込みとなった元オリックス・本田圭佑投手(32)が、「本当に幸せな野球人生だったので、なんの悔いもない」と10年のプロ野球生活を振り返り、「打たせる難しさも絶対あるだろうとは思ってるけど、とにかくサポートできるように、選手のためになるようにという思いだけ」と率直な思いを明かした。

 東北学院から東北学院大を経て、15年ドラフト6位で西武に入団。

昨オフの現役ドラフトでオリックスに移籍したが、今月14日に戦力外を通告された。そのタイミングで古巣から誘いがあり、「(最終的には)戻りたいと思っていたので本当にうれしい」と“第2の野球人生”を決断した。

 オリックスでの1年間は「めちゃくちゃ本当に濃かった」と振り返る。「結果は出なかったし、オリックスに貢献できなかったのでそこは本当に申し訳ない気持ちがあるけど、違うことを知れたという意味ではいい経験ができた」と思いがあふれた。

 現役生活はちょうど10年。引退をきっぱりと決断できた理由のひとつに、育ててくれた西武への感謝の思いがある。「もっと早く(プロ野球人生が)終わっててもおかしくないって思ってる。ライオンズでお世話になった全ての方々に力をもらって、本来の自分より長くやらせてもらってる感覚がある。最後は違うところでやらせてもらって、ちゃんと1年目から活躍する難しさやしっかり溶け込む難しさを感じて結構しんどい1年ではあって。やりきったと思えてる時点で、ここで辞めたいなという感覚があった。やり遂げたって思えたんで」

 30日に埼玉・所沢でスタートした秋季キャンプに参加し、初日は打撃練習を補助。「少しでもいいボールを投げようと自分を磨いてきた。

バッティングピッチャー用に別人にはなりたくないし、培ったものを生かして少しでも実戦に近い打撃投手になれれば」と思い描く一方、「マウンドから投げるわけでも思いっ切り投げるわけでもないので、そこはすごい難しい」と新たな壁にも直面。だが、「楽しいです」と柔和な笑みを浮かべ、日々を楽しんでいる。

 現在は家探し中で、一時的に埼玉・所沢の若獅子寮で生活。「ちょっと(若手時代を)思い出しました。1月のちょっと肌寒い感じとか」。ファンから「ぽんちゃん」の愛称で親しまれた本田が、プロでの第一歩を踏み出した場所で、初心に帰ってリスタートする。(大中 彩未)

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