将棋の藤井聡太竜王=名人、王位、棋王、王将、棋聖=に佐々木勇気八段が挑戦する第38期竜王戦七番勝負第3局が1日、京都市右京区の総本山仁和寺(にんなじ)で指し継がれ、先手の藤井が85手で勝利。3戦3勝として、5期連続5度目のタイトル、そして渡辺明九段、羽生善治九段に続き史上3人目となる永世竜王の資格獲得に王手をかけた。

 午前9時、後手・佐々木の封じ手が開封されリスタートした。55手目で藤井が43分の考慮の末、8筋に角を上がり、攻め合いを宣言した。佐々木は66手目で2時間33分の大長考。自陣に入った成桂を放置し、竜で穴熊の敵陣に攻め入った。以降は藤井優勢となり、佐々木は82手目で秒読みに入ったが、藤井には残り時間38分のアドバンテージがあった。

 終局後、藤井は「自信の持てない形で中盤戦に入ってしまったんですけど、前提としてお互いの玉の距離感が難しかった将棋だったかなと思います」としたが、55手目の攻めを「何とか穴熊を生かす展開にできれば」と振り返った。12、13日に京都競馬場で行われる次局に向けて「スコアのことを意識せずに臨めたらなと思いますし、後手番ということになるので、しっかり準備をしていきたいと思います」。10月28日の王座戦五番勝負第5局で伊藤匠叡王に敗れ、六冠に後退したショックも無縁のようで、スイープを目指す意気込みを示した。

 カド番となった佐々木は、目を閉じ、頭をかきつつ「精いっぱい戦いたいと思います」と声を絞り出した。

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