歌舞伎俳優の中村鴈治郎、片岡愛之助、市川中車らが10日、大阪市役所で大阪国際文化芸術プロジェクト「寿初春歌舞伎特別公演」(来年1月7日~25日、大阪松竹座)に向けた取材会に出席した。

 今回は歌舞伎の古典作品が中心。

昼の部は「菅原伝授手習鑑 車引」「祇園祭礼信仰記 金閣寺」「らくだ」。夜の部は「女鳴神 龍王ヶ峰岩屋の場」「仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場」「京鹿子娘道成寺 鐘供養より押戻しまで」を上演する。昼夜で4演目に出演する鴈治郎は「67になるにも関わらず、4つも出させていただいていいのかと思っておりますけど、久々に正月の大阪から出られるので、どんな役でも出させていただきたい」と意欲。さらに、高市早苗首相の今年の新語・流行語大賞にもノミネートされた言葉を使い「働いて働いて働かせていただくつもりですので、ご期待ください」とアピールした。

 昼の部の「らくだ」では、市川猿弥と夫婦を演じる。今回は家主幸兵衛役の鴈治郎だが「猿弥さんと夫婦なので、せっかくですから毎日日替わりで夫婦を取り換えたいなと思っております。どっちの女形も見たいだろうということで」と話し、笑いを誘った。

 愛之助は「金閣寺」で此下東吉を演じる。かつて演じた時に碁を打つ場面で適当に打っていたところ、観客から「ちゃんと打っていない」との投書があったことを明かし、その後は碁の勉強をして真剣勝負をしているという。愛之助は「今回は鴈治郎のお兄さんと碁を勝負できるということで楽しみにしております」とワクワク。映画「国宝」ブームにのり「新作ももちろんいいのですが、本来のど真ん中の古典歌舞伎というのをたくさんの方に見ていただきたい」と語った。

 中車は大阪松竹座が来年5月で閉館することに寂しさを感じており「楽屋に入る時に必ず金龍(ラーメン)の前を通るのですが、この濃厚な匂いを嗅げなくなるなと思うと、本当に寂しい思いがいたします。

金龍の匂いをしっかりと嗅いで、思い出を残したい」と珍アピールを繰り広げた。

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