巨人ドラフト2位指名の早大・田和廉投手(22)が11日、東京・新宿区の同大学キャンパスで指名あいさつを受けた。阿部監督が「特殊球」と称する独特な軌道のシンカーを投じる右腕は「自分の武器(シンカー)とかぶる投手はいないと思う。

魔球として認定されれば、代名詞じゃないですけど、そういう名前がついてくるのかな」と最大の武器に愛称がつくほどの活躍を誓った。

 早実での高校野球を引退後、サイドに近いスリークオーターから投げるフォームを生かそうと、落ち球を模索。最速152キロの直球に、まずは130キロ前後のシンカーが加わった。さらに緩急をつけるため、4年春からは115~120キロのスピードでも本格的に投じるようになった。打者のタイミングを外す2種類のシンカーはスピードの違う「左投手のカーブみたいな軌道」を描く“魔球”として注目を集めた。「トラックマンも左投手のカーブの位置を示しているので、そういうイメージで放っている」と田和は明かした。

 魔球の命名という新たな目標ができた。今季ヤンキースで67試合に登板し、メジャー通算297回2/3で465奪三振のウィリアムズの武器で、球速を保ちシュートしながら沈むチェンジアップ「エアベンダー」の映像を参考にしたことがあるという。変化もさることながら「(名前が)かっこいいと思うので、そういうのをつけてほしい」と願った。

 もちろん、結果を残すのが大前提。同じ変則右腕で「お話を聞きたい」と語っていた大勢もプロ入り前、先発、リリーフともに可能性があり、最終的には1年目の開幕前にリリーフに専念することが決まった。大学では主に抑えを担ってきた田和だが、先発に挑戦する可能性も大いにある。

「1年を通して1軍で投げるのが大事。1軍に定着して、登板数、イニング数を稼げれば、野球ファンの方々に自分のシンカーを知っていただけると思う」。唯一無二の魔球で、居場所を確立する。(臼井 恭香)

 ◆ネーミングがついた主な球

 ▼カミソリシュート 大洋・平松政次の代名詞。「平松のシュートはカミソリみたいだ」と、巨人・長嶋茂雄が名付けたとされる。

 ▼小宮山シェイク ロッテ・小宮山悟が現役終盤に投じた“魔球”。握りはフォーク、変化はナックル、球速80キロ台で揺れる。

 ▼お化けフォーク 阪神・野田浩司の決め球。鋭く落ちて消えることから当時のヤクルト・野村克也監督が「お化け」と呼んだ。

 ▼火の玉ストレート 阪神・藤川球児の剛速球。06年球宴で全球ストレートを予告して西武・カブレラ、日本ハム・小笠原を連続三振。狙っても当たらない球は火の玉と呼ばれるように。

 ◆田和 廉(たわ・れん)2003年5月2日、京都府生まれ。22歳。伏見板橋小2年時に伏見桃山クラブに入団し、伏見中時は京都ベアーズに所属。東京・早実時代は甲子園出場なし。東京六大学リーグでは通算29試合登板で2勝1敗、防御率2.08。趣味はサウナ。183センチ、88キロ。右投右打。

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