◆エイブルトライアウト(12日・マツダスタジアム)

 日本プロ野球選手会が主催する「エイブルトライアウト2025~挑め、その先へ~」が行われ、38選手が参加した。広島から戦力外通告を受けた山足達也内野手は「今日が最後と決めてきました」と、今季限りでの現役引退を表明した。

昨年オフの現役ドラフトでオリックスから移籍。オリックス時代は堅実な守備で21~23年のリーグ3連覇を支えた。移籍1年目の今季は出場11試合にとどまっていた。

 この日は7打席に立ち、DeNAの育成右腕・今野から1安打を放った。「家族や知り合いの方にも『最後』と伝えていた。見に来てくれている方たちも多かった。何とか1本打てて良かった」と、すがすがしい表情を浮かべた。

 先月25日に戦力外通告を受けた翌日に引退を決断したという。

 「やりきったという方が強い。ここまでへばりついてきた。何とかへばりついて8年間できた。自分にとっては誇りに思うし、これからを考えたときに(戦力外と)言われた次の日は辞めようという気持ちになった。

そのぐらいやりきった。言い方は悪いですけど、もう自分にこれ以上の伸びしろを感じなくなったというか、もうこれ以上はっていう気持ちになったので辞めます」

 昨年までNPBと日本プロ野球選手会が共催してきた12球団合同トライアウトは、今回は株式会社エイブルホールディングスの協賛によって、選手会によって初めての単独開催。選手会の強い要望もあり、存続が決まった。オファーを求めてトライアウトに参加する選手の一方で“引退試合”の意味合いもある。

 「なかなかユニホームを着て野球している姿を家族全員に見せることってない。僕とか特に出るか出ないか分からない。今日は家族が着てくれて、特別な思いで臨みました」

 仮に他球団からオファーがあっても、意志は変わらないという。今後については未定。「とりあえず今日のために頑張ってきた。いろんな人が食事に誘ってくれて、人生の先輩方のいろんな話を聞いて、今後の人生を決めたいなと思います」と、納得の思いでユニホームを脱ぐ。

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