早大で箱根駅伝に2度出場した作家の黒木亮さん(68)=本名・金山雅之さん=が、来年1月の第102回大会で、2011年以来15年ぶりの優勝を狙う母校に「チャンスはあるでしょう」と静かなるエールを送った。黒木さんは駅伝シーズン到来に合わせ、駒大時代に5区で活躍して現在はOB会長を務める大越正禅(しょうぜん)さん(68)の半生を描いたノンフィクション「袈裟(けさ)と駅伝」(ベースボール・マガジン社)を刊行。

箱根路の華やかさと、その裏にある厳しさを語った。

 本の「主人公」となった大越さんは「多くの知人から連絡がありました。反響は大きいですね」と恐縮した様子で話した。浦幌高卒業後、当時、箱根駅伝優勝争いの常連だった順大に進む可能性もあったが、中堅校の駒大の仏教学部に入学した。「今となっては駒大で走れて良かったと思っています」と爽やかに話した。

 23歳で住職になり、37年間、務めた後、60歳で退任。2017年に北海道から川崎市に移った。昨年12月には駒大のOB会長に就任した。現在、駒大は誰もが認める強豪校となった。今季は全日本大学駅伝で2年ぶり最多の17度目の優勝を飾り、箱根駅伝では3年ぶりの王座奪回を狙う。「私たち古いOBは現役選手の頑張りを楽しませてもらっています。勝ってくれれば、なお、いいですけど、自分たちの力を発揮してくれれば、それだけで十分です」と元住職のOB会長は、現役チームにプレッシャーをかけることは一切なく、穏やかに話した。

 ◆大越 正禅(おおこし・しょうぜん)1957年1月5日、北海道・浦幌町生まれ。68歳。浦幌中入学と同時に陸上競技を始める。浦幌高2年時に全国高校総体5000メートル14位、3年時は同9位。75年、駒大仏教学部入学。箱根駅伝は1年3区10位、2年5区2位、3年5区3位、4年5区14位。卒業後、横浜市の総持寺で修行した後、実家の東禅寺の住職を務めた。2017年に退任。2024年12月に駒大OB会長に就任した。

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