今季限りでユニホームを脱いだ巨人・長野久義氏(40)の引退セレモニーが23日、「ジャイアンツ・ファンフェスタ2025」内で行われた。自ら希望し、スピーチは異例のヒーローインタビュー形式。

来年の日本一奪回をナインに託した。阿部監督、高橋由伸氏、村田修一氏、菅野(オリオールズ)、坂本から花束を受け取り、涙を流した。ファンを愛し愛された男らしく、G党の前で胴上げされ、16年間のプロ野球生活に別れを告げた。来年3月に引退試合を行うことも決まった。

 スポットライトの先で、背番号7が鮮やかに浮かび上がった。慣れ親しんだビジョンに、長野の16年間の足跡が次々と映し出される。内海の最多勝をアシストした11年最終戦のサヨナラ満塁弾、12年に坂本と2人でつかんだ最多安打、広島へ移籍した19年の巨人戦で放ったヒット…。その喜びを分かち合ってきたファンが、スタンドですすり泣く音が聞こえる。「球団の人たちもすごく時間をかけて用意してくれて。本当にありがたいですね」。引退会見でも見せなかった涙が、とめどなく頬を伝った。

 G党に語り継がれるであろう感動的なシーンは続いた。

花束贈呈では元監督の高橋由伸氏と日大の先輩で巨人でもチームメートだった村田修一氏(現DeNA2軍監督)がサプライズゲストで登場。さらに阿部監督、盟友の坂本と涙を流し合いながら抱き合った。現役時代に支えとなっていた応援歌に包まれながら場内を一周。胴上げはメジャー挑戦する岡本を“身代わり”としたが、「すごい上がるんだなと。(ナインが)和真を持ち上げてたから、同じ感覚でやってその(体重が軽い)分、上がった」と背番号と同じ7度、宙に舞った。

 誰もが感傷に浸った東京D。感動のスピーチを予感していたファンに、らしいサプライズが待っていた。明転したマウンドの前に置かれていたのはマイクスタンドではなく、お立ち台。アナウンサーに「今日のヒーローは長野久義選手です!」と呼び込まれ、主役が登場した。

 阿部監督ばりの「最高です!」から始まった5分間のお立ち台は大盛り上がり。「来年阿部ジャイアンツが日本一になることが僕の夢です! 監督、よろしくお願いします!」と締めくくると“長野選手”に、スタンドからこの日一番の拍手が送られた。「さすがに1人で話すのは無理だなと。

シーンとしているところで。なんかいい案がないかなと思って、『ヒーローインタビューだったらいけるわ』と思っていきました」と、してやったりだった。

 セレモニー後には、来年3月のオープン戦で引退試合が行われると発表。ベンチ入りした10月のCSでは打席が回ってこなかっただけに、プレーヤーとして最後の雄姿を見せる舞台となる。12月に大学院受験が控えており「キャンプで体つくって『え、あいつ(練習)やってるじゃん。あんだけやめるって言ったのに』みたいなことになるかもしれない(笑)。その時はもう、笑って(現役)復帰させてください」と、ここでもチョーさん節で笑いを誘った。次は、どんなことをやってくれるのか。ファンを魅了し続けた男の道には、まだまだ続きがある。(内田 拓希)

 〇…東京D内の通路は、日本ハム・稲葉2軍監督、清宮幸、中日・大野、広島・小園、秋山、カブス・鈴木ら他球団選手や関係者など約70人から贈られた花束で埋め尽くされた。セレモニーで花束を渡した菅野は「この花束の数が(長野の人柄を)表していると思います」と話した。

 ◆長野に聞く

 ―高橋由伸氏、鈴木誠也原辰徳氏からビデオメッセージ。

 「本当にお忙しいと思うんですけど、素晴らしいメッセージをいただき、大変うれしく思います」

 ―特別映像も流れた。16年間の現役生活を振り返り。

 「かっこいい時期があったなと思って、自分でもちょっと見ほれていました」

 ―1年目はかなりホームベースから離れて打席に。

 「キャンプ始まる前に、当時選手だった阿部さんに声をかけていただいて。『大学、社会人を経験してやってきているわけだから、自分の今までのプレーをしっかりやれ』と言っていただいたのがいい結果につながったと思っています」

 ―今季もベンチで一番声を出していた。

 「僕が出る時も若い選手たちが一生懸命応援してくれるので。僕も、出ていない時は一生懸命応援しようと思って声を出していました」

 ―仲間にもよく声をかけていた。

 「サヨナラが決まった瞬間はベンチを一番に出るというポリシーがあったので。今の映像でも僕より先に出ていたら、立岡とかを手で制していたので。僕より先に行かせないようにしていました」

 ―そこは譲れなかった。

 「プレーで目立てなかった分、そこで目立とうと思って、行っていました」

 ―ファンの皆さんの存在は。

 「一番の力の源でした。

本当にファンの方の声援を聞くたびに頑張らないといけないと思いましたし、鳥肌がいつも立っていました。ありがたいです。ありがとうございます」

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