元宝塚の雪組トップスターで女優の壮一帆が、朗読歌劇「心中・恋の大和路」(6月24~28日=東京・草月ホール、7月2、3日=兵庫県立芸術文化センター・阪急中ホール)に出演する。近松門左衛門の「冥土(めいど)の飛脚」をもとにした歌劇団史上に残る名作で、主人公・忠兵衛は元星組トップ・瀬戸内美八の当たり役(79年初演)として有名。

芸能生活30周年を迎えた壮も、トップ時代(2014年)に経験している。

 「(別バーションで出演の)瀬戸内さんとご一緒できる機会はそうありません。恐れ多いですが、喜んで参加させていただきたい、と思いました」。忠兵衛が素性を隠すために手ぬぐいを巻く“ほっかむり”を覚えるのに苦労したのも懐かしい思い出だ。

 「忠兵衛という人物は、宝塚の男役の中にあまりいないような、珍しいタイプ。それまで自分の培ってきた男役ではほとんど通じなくて。この役を通して芝居の幅について考えるようになりました」

 実際に演じて、初めてその役の大変さを実感できる。当時演出だった谷正純氏に、瀬戸内がなぜあれほどまでに完成度高く演じることができたのか、質問した。すると、「ルミ(瀬戸内の愛称)は、ルミ自身が忠兵衛だったんだよ」と返ってきて絶句したという。「それを聞いて自分のやり方を探すしかない、と。今回、先輩方を稽古場で拝見できるのも幸せです」

 昨年12月に一般男性との結婚を公表した。「『味方がまた一人増えてよかったですね』という印象深い言葉をくださるファンもいました。

長年応援してくれた良きで理解者で、ファンと一緒に年を重ねてきたんだな、という思いがあります」。30周年の節目。気持ちを新たに舞台に立とうとしている。(内野 小百美)

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