◆明治安田J1百年構想リーグ ▽第18節 柏4―2千葉(23日・三協F柏)

 柏はホームで千葉に4―2で勝利した。東地区最終戦で今季最多の4得点を決め、3連勝で締めくくった。

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 柏のメンバー表に「熊坂光希」の名前が1年ぶりに載った。右膝前十字靱帯(じんたい)断裂による長期離脱から復帰したMF熊坂は、後半34分にMF小泉佳穂との交代でピッチに入った。ピッチに現れた段階から拍手に包まれていたが、熊坂の名前がアナウンスされると、その拍手はより一層大きくなり、温かい雰囲気が日立台を包んだ。「長かった。でも、この半年のシーズンに戻って来られて良かった」。昨年5月25日の第18節横浜FC戦以来の出場。昨季、自身の指定席だったボランチへ入った。

 この試合までに練習試合を1試合しか積めていなかったため、まだゲーム感覚が戻っていない場面も見られた。ただ、スムーズなパス回しなど、技術の高さは健在。表情には充実感がにじんだ。自身のプレーについては「まだまだ」としつつ、「残り2試合あるので、自分も試合に絡めるように、コンディションを上げていければ」と、30日から始まるプレーオフラウンドを見据えた。

 この試合でともにボランチを組んだMF中川敦瑛は、自身の離脱がきっかけで先発の座をつかみ、昨季後半戦のキーマンとなった。

練習時も含めて、今回が初のコンビだったというが、中川は「(熊坂が)復帰してくれてうれしい。彼の守る範囲、ビルドアップの安定感は知っている。自分も光希くんがいるともう少し前でプレーできる。もっと場数を踏んでいけばいい関係性になると思う」と、今後へ手応えを示した。

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 大卒2年目の昨季は飛躍の年だった。開幕から先発の座をつかむと、リカルドロドリゲス監督が掲げる攻撃的なサッカーの扇の要として活躍。185センチの長身を生かした守備能力の高さに加えて、長短のパスを織り交ぜた攻撃の起点となるプレー、2列目からの飛び出しを武器に大ブレイクを果たした。その活躍と潜在能力が評価され、昨年6月には柏ユースの同期であるFW細谷真大とともに初の日本代表にも選出された。まさに順風満帆だった。

 ただ、初の日本代表の活動中に悲劇が起きた。インドネシア戦へ向けた同8日の練習中に負傷すると、病院へ直行。翌日に、クラブから右膝前十字靱帯断裂の診断が発表された。

右肩上がりの状況でのけがだったこともあり「けがしたときは頭が真っ白になったし、悔しくて、いろいろな思いがあった」と語る。柏ユース在籍時にも右膝の半月板を損傷する大けがを負ったが、再びリハビリの時間を過ごすことになった。

 リハビリの期間は「全部つらかった」と振り返る。「サッカーをやりたい気持ちもあったが、なかなかできず、ボールを蹴れるようになってからも長かったり、いろいろあった」。百年構想リーグでもより早い段階での復帰が予定されていたが、右膝の痛みが再発し、離脱が長期化。連戦で実戦経験も積めず、東地区の最終戦まで復帰が長引いた。

 悔しさ、ふがいなさを抱えつつも、気持ちは前を向いている。

 「あのけががあったからこそ、また一段と強くなって、もっともっと人としても、選手としてもレベルアップしていけるようにしたい」

 6月11日(日本時間12日)には北中米W杯が開幕する。今回は夢の舞台に届かなかったが「けがしちゃったので仕方がない。でも、次のW杯には自分も行けるように頑張りたい」と迷いなく言い切った。4年後には今度こそ―。自身が育った柏の地で、熊坂が再スタートを切った。

(浅岡 諒祐)

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