◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 北中米W杯で導入される新ルールを知っていますか。国際サッカー評議会が打ち出した改定は、スローインやゴールキックへの「5秒ルール」の適用を始め、試合の遅延を排除しようという意図が見える。

中でも、グレーゾーンだったスローインに秒数制限が課された。一見すると厳格な「5秒」という制限を、日本代表はむしろ追い風に変えようとしている。

 DF長友佑都(39)は「5秒は早い。かなり周りの選手たちの準備が必要になる」と口にする。日本代表の国内合宿では、名波浩コーチが「もう5秒たっている」と指摘する場面もあった。しかし、長友は「逆に言えば相手も5秒以内に投げなきゃいけない。早く準備するという意識で攻守ともにやりたい」と語る。

 今回のルール変更は「リスタートの素早さ」を共通認識として磨いてきた森保ジャパンのアプローチに通じるものがある。22年カタールW杯では、スローインが日本代表の課題の一つだった。大会後、名波コーチは「投げるのが遅かった」と分析。そこで第2次森保ジャパンは、スローインの高速化とパターンの構築に取り組んできた。

 現代サッカーでは、スローインは単なるプレーの再開手段ではなく、陣地回復の戦術であり、勝敗を分ける可能性もある重要な局面だ。

ルール変更によって世界のライバルが5秒の壁に戸惑えば、日本が4年をかけて積み上げてきた組織的なパターンと、「素早い準備」の意識がより優位に働くはず。森保ジャパンにとって、新ルールは世界の強豪を出し抜く「勝機」となるかもしれない。(サッカー担当・金川 誉)

 ◆金川 誉(かながわ・たかし)2005年入社。W杯は今大会で4度目。

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