スキーやスノーボードをする人、山を愛する人はもちろん、そうでない人にもおなじみのリゾート地、長野県白馬村。長野五輪も開催されたこの村は、サーキュラーエコノミー(循環経済)に本気で取り組み、2021年にはグッドデザイン賞も受賞しました。人口1万人弱の小さな村で今、何が起きているのでしょうか。現地で取材してきました。
スノーリゾートで人気の街が雪不足の年も。気候変動を体感し、危機感

連休明けの5月、白馬の人たちは「今が一番いい季節」と口をそろえていました(写真撮影/嶋崎征弘)
“白馬村とサーキュラーエコノミー”と聞いて、その関係にすぐにピンとくる人は少ないかもしれません。また、大変お恥ずかしい話ですが、筆者は「サーキュラーエコノミー」を正しく理解しておらず、「環境問題に関することでしょ?」などとぼんやり捉えていましたし、正直に話すと、環境問題に特に意識の高い人達にしかまだ定着していない言葉なのかなと思っておりました。

植えられたばかりの稲が風にそよいでいます。山の近さがおわかりいただけるでしょうか(写真撮影/嶋崎征弘)
サーキュラーエコノミーとは、日本語に直訳すると「循環型経済」で、廃棄されてきた製品や原材料を資源ととらえ、限りなく循環させていく経済の仕組みのことをいいます。今まで製品は生産、消費、廃棄が一方通行で大量生産大量消費を繰り返すことで経済を発展させてきましたが「サーキュラーエコノミー」では、使用が終わった製品を廃棄せずに資源と捉えて循環させ、廃棄物と汚染を発生させずに、環境と経済を両立するという考え方です。