東京にはたくさんのカレーの名店があります。

 新宿『中村屋』のインドカリー、神保町『ボンディ』の欧風カレー、御茶ノ水『エチオピア』のスパイスの効いたカレー、銀座ナイルレストランの『ムルギーランチ』……などなど、カレーってひとりメシには外せない定番メニューですよね。

カレー好きの読者諸兄のみなさんもなぜか無性に食べたくなるカレーがあるんじゃないでしょうか。

 今回、筆者が足を運んだのはJR両国駅から徒歩3分の場所にある『キッチン南海』。神保町や東池袋など、東京を中心に各地に点在し、手頃な値段でお腹いっぱい食べられる、ひとりランチ民にはおなじみの街の洋食屋さんです。

 数あるキッチン南海の中で、なぜ両国店に行ったかというと、ある日、飲み友達で池袋のグルメ王・K氏から「キッチン南海全店舗で一番ライス量が多いのが両国店」という情報を得ていたからです。これは気になる! というわけで行ってきました。

ごはんの量がハンパない! 『キッチン南海 両国店』のカツカレー大盛りを食べてきた

ウワサ通りライス量が多いが、謎の調味料で味変できる

ごはんの量がハンパない! 『キッチン南海 両国店』のカツカレー大盛りを食べてきた

 一説によると、キッチン南海という店名は、創業者がプロ野球南海ホークスのファンだったことが由来とされていて、暖簾分けされた各店舗の看板はチームカラーの緑が使用されていることが多いのですが、両国店はオレンジが基調。

ショーケースのディスプレイなど、見るからに昭和を感じさせる外観に期待が膨らみます。

ごはんの量がハンパない! 『キッチン南海 両国店』のカツカレー大盛りを食べてきた

 さっそく店内に入店すると、夫婦と思しき年配のおじさんとおばさんが「いらっしゃいませ~。空いているカウンター席へどうぞ」と声をかけてくれます。この日は、朝から取材で各所を歩き回っていたので、がっつり食べたいモード。迷わずカツカレー大盛り(820円)を注文しました。待つこと約5分。

 おじさんが「そろそろ揚がるよ」と声をかけると、おばさんが銀皿に大量のごはんを投入し、キャベツを盛り付け始めます。その上におじさんが揚げたてのチキンカツを乗せ、さらに寸胴からカレールーをかけていきます。何気ない2人の共同作業ですが、雨の日も風の日も何十年も同じことを繰り返してきたんだろうなと思うと、なぜか心がほっこりします。

ごはんの量がハンパない! 『キッチン南海 両国店』のカツカレー大盛りを食べてきた

 おばさんが「すみません~。おあとで~す」という掛け声とともに運んでくれました。ついに本日の主役カツカレー大盛りとのご対面。

カレーのルーがこぼれ落ちないように銀皿の下にはもう1枚皿が敷かれています。さすが大相撲の聖地・両国にあるだけのことはある! 横綱級のボリュームです。

 卓上にあるマヨネーズをキャベツにかけて、福神漬けを添えて、さあ実食! よく煮込まれた濃い茶色のカレールーは家庭的な香りを残しながら、ここでしか食べられない一度食べたらクセになるピリ辛味で、ごはんが進みます。さらに、キャベツとマヨネーズをルーに混ぜて食べると、味がまろやかになり、さらにごはんが進みます。

 でも、見た目以上に銀皿の底が深く、なかなかごはんが減りません…。池袋のグルメ王・K氏から聞いていた「キッチン南海全店舗で一番ライス量が多いのが両国店」という言葉を思い出します。

でも完食しないで残すのは、許されません。そんなときです。卓上に怪しげな香辛料があるじゃないですか。白いラベルに薄れた文字で「危険」と書いてあります。

ごはんの量がハンパない! 『キッチン南海 両国店』のカツカレー大盛りを食べてきた

 当然、試してみますよね。赤い粉をルーの上にふりかけます。

さらにマヨネーズも投入。思ってたほど辛くはありませんが、味の変化を楽しみながら、なんとか完食に成功しました!

 途中、コップの水が半分くらいになると、すかさずおばさんが水を注いでくれました。たった二人で切り盛りしていて、次から次へと注文が入るのに、食べている客にも、ずっと目配り、気配り、心配りをしてもらえて、これも両国店の味なんだなーと、またしみじみしました。

 帰り際もお二人から「いつも、ありがとうございます。またよろしくお願いします!」と声をかけられ、再訪を誓うのでした。

(取材・文◎大崎量平)

●SHOP INFO

ごはんの量がハンパない! 『キッチン南海 両国店』のカツカレー大盛りを食べてきた

店名:キッチン南海 両国店

住:東京都墨田区両国2-14-8
TEL:03-3632-6913
営:11:30~15:30
休:土・日・祝