本場超えレベルの絶品バインミーが味わえる『スタンドバインミー』が超絶にうまい理由

2018年05月13日(日)10:00

本場超えレベルの絶品バインミーが味わえる『スタンドバインミー』が超絶にうまい理由

　皆さんは、ベトナムで「バインミー」を食べたことありますか？　筆者は残念ながらありません。しかし先日、東京目黒区・学芸大学で友人と食べた「バインミー」があまりにも美味しくて、「もうベトナムに行って食べなくてもいいのでは？」と思うほど感激してしまいました。

　お店の名前は『スタンドバインミー』。アメリカの名画「Stand By Me」の主題歌（ベン・E・キング）「When the night♪　 has come♪～」という、低音の歌声が頭に浮かびそうですが、こちらはあくまでもフランス料理をベースにしたベトナム料理のスタンド。外観、内観、フレンチ・ベトナムな色やタイルを使っていてとっても可愛いんですよ。

本場ベトナムを超えてるんじゃないか！？

　看板メニューは、もちろんバインミー。そのほかにベトナムを代表する料理、フォーや生春巻きなどもあります。「産地直送の有機野菜やオーガニック食材を使用し、調味料から極力無添加でお作りしています」という店先の看板に魅かれ、ふらふらと立ち寄った筆者と友人。最初にいただいたのは「鯖のバインミー」850円と「生米麺のフォーガー（鶏ガラスープ）」860円でした。

「鯖のバインミー」の具材は、トマトと一緒に煮込んだ鯖、ミントなどのハーブ、パクチー、有機野菜、自家製なます、ピーナッツなどがたっぷりと入っています。最初に「うわっ」と思ったのがバゲットです。ほんのり甘く、ふすま入りの小麦が香ばしくて、外側はサクッと、中はふんわりした食感。パンだけでも美味しい！

　ミントの爽やかな香り、鯖とトマトの旨み、なますの柔らかな酸味、ピーナッツの香ばしさなど、味と香りの組み立てが素晴らしいんです。かじるたびに「おいしい」を連発し、「これはバインミーを超えてるね」「サンドイッチのふりしたフランス料理だね」など、意味不明なことを口走ってしまうほど。

　続いて「生米麺のフォーガー」。

鶏ガラを10時間煮込んだというスープ。軽い塩味ですが旨みたっぷりです。こちらもミントやパクチー、ディルなどが溢れており、ライムの香りも加わって夏にぴったり。そして何より感激したのは、麺です。

　日本で食べるフォーは乾麺が多いのですが、こちらは正真正銘、生米麺。キシキシとした感じがなく、するする、モチモチ、つるつる。

コシもしっかりあります。まるで平打ちのうどんのような食感なのです。お店の方に伺うと、新潟で作っている米麺だそうで、確かにお米の甘みをしっかり感じます。

　2品をあっという間に完食し、興奮した我々は、顔を見合わせ、おかわり決定！

味の構成が素晴らしい

　追加注文を何にするか迷いましたが、やはりバインミーに決定。「牛ほほ肉のバインミー」880円と「オリジナルバインミー」780円の2つを注文。今度は落ち着いて、お店の方が作っている様子を観察しつつ、質問をしてみました。

「（牛ほほ肉のバインミーは）半分にしたバゲットの上側にアイオリソースを塗ります。

下側にはアーリーレッド（赤玉ねぎ）を敷き、牛ほほ肉の煮込みをのせて、その上にパクチー、ミント、ディルなどのオーガニックの野菜を載せます」（店主の白井さん）

　その“牛ほほ肉の煮込み”は、自然派ワインを使い、長時間、ホロホロになるまで煮込んでいるそうで、まるで“超高級コンビーフ”ように感じました。

　また「オリジナルバインミー」は、バゲットの下側にナンプラーを少々塗って、その上にハムとなます、レバーペーストを重ねます。このハムも、なますも、レバーペーストも自家製ですって！

自然派ワインに合う優しいベトナム料理

　お話ししてくださったのはオーナーの白井瑛里（しらい・えり）さん。なんと、まだ20代の小柄で可愛らしい方です。

　店をやろうと思ったのはなんと昨年の7月で、10月にはオープンしていますから準備期間はたった3カ月だったそう。

「ええい！って、勢いでやっちゃいました」と言いますが、その短い期間に、「バゲットをオリジナルで作りたい」とアポなしで中目黒のミート＆ベーカリー「タバーン」さんにお願いに行って共同開発したり、理想の生米麺を選ぶために新潟の工場まで行ったり、メニュー1つ1つの構成を考え、レシピ作りに明け暮れ、はたまた店の内外装、食器、ロゴに至るまで、自身の思い描く店を突き詰めて作り上げたそうです。

すごい行動力に加え、素晴らしいセンスと才能。

「私の原動力の源はベトナムですが、実をいうと、自然派ワインでもあるんです。ブドウを潰して熟成させただけの素朴かつ繊細なナチュールワインが大好きで、それに合うベトナム料理を考えていったとき、有機野菜やオーガニック食材を選ぶことになり、スープも鶏ガラをバキバキ折るところからやったり、コリアンダーやスパイスなど独自の配合でハムを作ったり。何もかも自家製になりました。外側は可愛いお店ですが、中ではスタッフの女性二人でわっせわっせと仕込んだり、ミントの葉をちぎったりと地味な作業を毎日やっています（笑）」

　5席の小さなスタンドですが、毎日のように会社帰りの方が寄ったり、子連れのママや、おじいちゃんやおばあちゃんも飲みにきてくれたりするそう。

『スタンドバインミー』が、ウチのそばにあったらいいのになぁ、と心底、思います。

バインミーのことを考えていたら、また食べたくなってきました。みなさんもぜひぜひ。ちなみに6月には新店舗で、ベトナムコーヒーやスイーツの出店も予定されているそう。楽しみです！

（撮影・文◎土原亜子）

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