子供から大人まで誰もが大好きな麺料理といえば、ラーメンと並んで「焼きそば」も挙がりますよね。そんな日本人のソウルフードの一つ「焼きそば」も近年のブームをきっかけに、多種多様に進化しているんです。

そこで、東京都内で食べておきたい絶品焼きそばをご紹介します。

『浅草 焼きそば 福ちゃん』(浅草)

確実に美味しい! 東京で味わえる絶品「焼きそば」5選

浅草で50年以上続く昔ながらの絶品焼きそば

 銀座線・浅草駅改札から出て2~3メートルの場所にある『浅草 焼きそば 福ちゃん』。現存する“日本一古い地下街”とも言われる浅草地下街にある店で、センベロが楽しめるお店としても知られている有名店です。オープンしたのは東京オリンピックが開催された1964年。なので2019年の今年で55年。おそらく当時から使い続けられているカウンターやイスなどに55年の貫禄を感じます。

 ここにきたら、マストで注文すべきなのが、「焼きそば」(350円)。

やや太めの麺でモッチリ系の「焼きそば」。海の家やお好み焼きの店とかで子供の頃に味わったような、どこか懐かしい味わいです。添えられた紅ショウガもいいアクセント、黄金のバランスです。店の一角には焼きそばを焼くコーナーがあり、このソースの焦げる匂いにつられて、つい店に入ってしまう、という人もいるそうです。

 ちなみに、「焼きそば」と人気メニューの「餃子」(370円)がセットになった「平日限定 焼きそば+餃子」(650円)が一番人気。このセットにプラス、チューハイ350円で、ピッタリ1,000円のセンベロ、ができちゃいます。

食べるだけでは終わらない、昭和情緒溢れるレトロな飲み屋でお酒と絶品焼きそばをいただいてみませんか。

●SHOP INFO

店名:浅草 焼きそば 福ちゃん

住:東京都台東区浅草1-1-2 浅草地下街
TEL:03-3844-5224
営:11:30~21:00、土日祝日11:00~20:00(LO)
休:月曜

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『中野やきそば処 小出屋』(中野)

確実に美味しい! 東京で味わえる絶品「焼きそば」5選

ソース好きも唸る“ダシ焼きそば”

 中野駅北口に広がる飲み屋街の片隅にあるこちらのお店。“焼きそばソース味が一番うまい”と思っている人にこそ食べてもらいたい絶品の「ダシ焼きそば」があります。

 具は、豚肉、キャベツ、人参、玉ネギ。そして、上には干し桜エビと青のりがハラリとまぶされているスタンダードな焼きそばです。そして、主役の焼きそばはというと、最初にふわっとソースの香りはすれど、ムチムチした麺を何度かみしめてもソースの味はない。どこまで行っても香る程度。

それよりも強烈に感じるのはダシの風味。汁気はないのに食べれば食べるほどダシの旨みが口に広がり、深い旨みに魅了されます。

 肉も野菜も、そして麺の小麦粉も、またダシの材料もすべて純国産品を使用。命ともいえるダシは、アゴやカツオ、エビなどを使い、オーナーが全て手作りしているそうです。粉ダシ、液体ダシ、ダシソースの3つを使って作られる「ダシ焼きそば」は、一度食べたら忘れられない味です。

●SHOP INFO

店名:中野やきそば処 小出屋 本店

住:東京都中野区中野5-49-5
TEL:03-3387-1033
営:11:00-23:00
休:なし

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『梅林』(五反田)

確実に美味しい! 東京で味わえる絶品「焼きそば」5選

常連客御用達の裏番メニュー「青菜からし焼きそば」

 東京・五反田で50年以上続く町中華『梅林』。「ソース焼きそば」や「肉ソース焼きそば」「上海焼きそば」など、全17種類にも及ぶ焼きそば系のメニューが充実している同店で、“隠れた人気メニュー”として常連の間で人気があるのが「青菜のからし焼きそば」です。

「青菜からし焼きそば」は、ひき肉と小松菜を炒め、あんかけ状にしたソースをモチモチの中華麺の上にかぶせた、オリジナル焼きそば。ニンニクと生姜で炒めたひき肉に、小松菜、自家製の鶏がらスープ、野菜と共にじっくり煮込んだ醤油、さらに辛さを際立てるために豆板醤を加えて作るこの一皿、もはやうなるしかない絶品です。豆板醤のピリッとした辛さに小松菜のシャキシャキとした食感が絶妙にマッチした、唯一無二の味わいです。

 今回紹介した「青菜からし焼きそば」を含む焼きそば17品だけでなく、麺類19品、ご飯もの12品、定食6品、点心8品と、ランチメニューだけで、全62品と種類がかなり豊富なので、毎日食べに来ても飽きない魅力的な町中華です。

●SHOP INFO

店名:梅林(メイリン)

住:東京都品川区東五反田1-24-1
TEL:03-3473-2005
営:11:00~22:00(LO)、土祝日11:00~21:00(LO)
休:日曜

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『喜記銀座店』(銀座)

確実に美味しい! 東京で味わえる絶品「焼きそば」5選

世界を魅了する香港・海鮮料理の名店の焼きそば

 日本の焼きそばはソース味が主流ですが、アジアには多種多様な味の焼きそばが存在します。例えば中国の「炒麺」は塩や醤油ベース、タイの「パッタイ」はナンプラーやタマリンド、インドネシアの「ミーゴレン」は甘めのケチャップマニスと魚醤、インドの「ハッカヌードル」はガラムマサラ、台湾の「ビーフン」は塩ベースといった具合。

 そして、今回ご紹介するのは香港の焼きそば。

正確にいうと、香港の名店『喜記(ヘイゲイ)』の焼きそばです。ちなみに『喜記』は、海鮮料理で超有名なお店ですが、この焼きそばにはエビやカニなどのシーフードの食材は入っていません。味も香港のたまり醤油がベースで、至ってシンプル。

 しかし、実はオリジナルの特製ガーリックスパイスがふんだんに入っており、これこそが『喜記』が超人気店になった理由なのです。何しろ、このスパイスの味を目当てに、世界各国の食通や著名人が、わざわざ香港の本店を訪れるほど。

 このガーリックスパイスは、蟹油(シェユ)でニンニクを揚げて作るのだそうです。


「蟹油とは、蟹を蒸すときにできる油のことです。だから、海鮮のダシと風味が染みていて、香ばしさもひと味違うんです。ちなみに、このガーリックスパイスは香港の本店でしか作ることができません。銀座店でも、本店から空輸されるものを使っているんですよ」(サイさん)

 『喜記』の焼きそばは“具なし”と書きましたが、ネギともやしと黄ニラといった野菜が入っています。そして麺は極細の乾麺を使っています。食べてみると、麺は揚げたようにパリッとしていて、しっかりコシがある。そして、1本1本にコクのある独特な香港のたまり醤油の味が染み込んでおり、非常に奥行きのある味わいです。そして例のガーリックスパイスが麺の合間合間に見え隠れしています。食の都・香港人が愛する焼きそばの味を、ぜひ食べてみてください。

●SHOP INFO

店名:喜記銀座店

住:東京都中央区銀座6-3-11 西銀座ビル2F
TEL:03-3289-0505
営:ランチ11:30~15:00(L.O.14:30)、ディナー17:30~23:00(L.O.22:00)、土・日・祝ランチ11:30~15:00(L.O.14:30)、ディナー17:30~22:00(L.O.21:00)
休:無休

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『チェローナ』(五反田)

確実に美味しい! 東京で味わえる絶品「焼きそば」5選

焼きそばブームのパイオニア「無添加焼きそば」

 4年前、白金でオープンするやいなや、東京に「焼きそばブーム」を巻き起こした『無添加焼きそば BARチェローナ』。人気絶頂のさなか、2018年6月に忽然と姿を消し、同年11月19日、ひっそりと五反田にリニューアルオープンしています。

「無添加焼きそば」はもちろん健在。しかし、今回は焼きそば専門店ではなく、美味しいお酒と、新鮮な魚介類やお肉を使った料理や鉄板焼きを楽しみ、〆に焼きそばを食べる鉄板焼きバルに生まれ変わっています。前の店を閉店してからの5ヶ月間に、シェフ自ら全国各地を巡り、地方の生産者からとびきり美味しい魚や野菜を仕入れるルートを構築、鮮度抜群の素材で作られる料理の数々はまさに絶品です。

 超人気の焼きそばは、“無添加”をキーワードに、食材やソース、調理法など一つひとつに手をかけた一品。自家製の焼きそばソースは、国産の野菜、果物とビネガーを使ったドロリとした「1のソース」と、和風だしを使ったサラリとした「2のソース」、さらに濃厚な鶏ガラでとった「3のスープ」。この3つをバランスよく配合することによって完成します。

 焼き方も独特。生麺を茹でて具材と炒め、鉄板の上にそれを乗せて以降は麺にはほとんど触れません。しばらく放置した後、下面をヘラでめくると、カリッカリの状態に変化しています。そして、その麺をひっくり返すことなくソースと絡め、目玉焼きを載せて出来上がる焼きそばは、食べてみると鳥肌立つほど美味しくて感動モノです。お試しあれ。

●SHOP INFO

店名:チェローナ

住:東京都品川区西五反田2-17-8-1階
TEL:03-3490-8938
営:17:00~23:45(23:00L.O.)
休:なし
http://beatus.co.jp/celona/

(撮影・文◎石澤理香子、土原亜子)