「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)「現場にアタック」で取材報告しました。
今日は、番組スポンサーの「スマートHR」と考える「最新のビジネス事情」の第4回。
★「人材マネジメント」で仕事と自己実現を両立
人材マネジメントとは、企業がビジョン達成のために、人材をどうやって有効活用するかというものですが、今、この分野では、大きな変化があって、人事の方は大変なようです。「人材マネジメント」に詳しい、学習院大学の守島基博教授にうかがいました。
「やっぱり人材が少なくなってきたんですね。1人1人が自分の力を最大限発揮して、かつモチベーション高く仕事をしていく、そういう状況が出てこないと、やっぱり企業の目的が達成されない時代にだんだん入ってきた。働くということと生きるということが両方とも充実させられるような働き方を提供していかないと、やっぱモチベーションというのは高くならないので。家庭っていうこともありますし、それから何をやっていきたいのか、仕事としてどういうふうなことを達成して自己実現していきたいのかとか、個別の価値であるとかニーズに対応して、人材マネジメントをやっていく。
(学習院大学 守島基博 教授)
▼学習院大学の守島基博 教授に聞きました
昔は、会社の人事は絶対というところがありましたが、今は会社人間の時代ではありません。仕事より家庭という人も多いし、仕事優先でも「自分のやりがい」重視する人が増えています。人材会社の調査では、正社員で転職した人は10万円近く年収ダウンというデータがあります。つまり収入が少し下がっても、自分の価値観を大切にして転職する人もいる時代なんです。
そこで人事としては、社員1人1人のモチベーションをどう高めるか、 そして、才能を発揮させる人材マネジメントが重要になっています。
でも、これは働く側のわがままとも言えないようで、背景には、労働環境の変化があるようです。
アメリカは、IT革命で変革
というわけで人材マネジメントも転換点ですが、日本企業のやり方はまだ古い…。一方、アメリカでは進んでいるそうですが、これには、一足先に転換点がありました。
「例えば、IBMって、昔はメインフレームコンピュータ、今で言うところのスーパーコンピューターの原型みたいなものを作って、これでビジネスをやってたんですけど、それだともううまくいきませんって時代がだんだん出てきて、そういうふうな技術者をどんどんある意味やめさせていったんですね。そのときに働く人たちは、これから会社に依存してたら同じことの繰り返しになるかもしれないとみんな思って、自分のアイディアを形にする、だからマイクロソフトであるとか、そういうふうな企業が生まれてきた。その時にやっぱりみんな優秀な技術者が多かったですから、どんどんやっぱり人事を変えてったんですね。どんどん働く方のやりたいことを吸収するようになったので、特にアメリカの企業の人事管理っていうのは大きく変わった。」
(学習院大学 守島基博 教授)
日本がバブルだった頃の世界のトップ企業と、今のトップ企業の一覧を比べると激変していて、当時は日本企業が多かったものが、今では、アメリカのGAFAなどに占有されている状況です。
もちろん、こうしたことには、しっかりした企業戦略が必要です。それがないと、ただ、従業員の声を聞くだけになって、うまくいかないということでした。
HRテックで、企業も社員も幸せに
では、日本は変われるのか?遅ればせながら、日本は今、AIなどデジタル化で業態転換が迫られています。新しい人材を見つけ、モチベーションを高めて、才能を発揮してもらう必要がありますが、では、そうした人材マネジメントのための「鍵」は何か?守島さんは、鍵なるのは「情報」だと指摘していました。
「この人って何が得意で、どういう能力を持っていて、何を大切にしていてっていうことを、人事が持った上で人材マネジメントをやっていく。情報を持たない人事っていうのはあり得ないわけだけど、今グローバル化が進んでます、事業がどんどんバラバラになってきてます、多角化してます、AIが入ってきてますって中で、人事部長さんの頭の中に入ってるデータだけじゃとても足りない。そういう意味ではテクノロジーとかHRテックみたいな物を使って、情報を見える化して、可視化して、それに基づいて意思決定をする。ものすごくやっぱりそういう意味では人事がかゆいところに手が届く人事ができるようになるってのがあるんだと思うんですね。」
(学習院大学 守島基博 教授)
情報といっても、これまでは、現場の管理者から上がってくる評価で判断していましたが、これは情報と言っても、客観的なデータになっていません。
そこで、スマートHRなどのHRテックの技術を活用して、データを見える化する方が良い。HRテックというと、作業の効率化がまず思い浮かびますが、これを入り口として、まずは客観的な情報を集め、分析して、それに基づいて意思決定するツールとしてきちんと活用することが、人材マネジメントの変革に繋がるとお話していました。