これからの季節、気をつけたいのが「紫外線」。このGWも、晴れたので、焼けちゃったという人もいるんじゃないでしょうか。

でも、そもそも紫外線とはどんなものなのか。どのような場面、場所で気をつけた方がよいのか。今日はお伝えしたいと思います。

突然ですが、まずはクイズです!

漢字で「紫」・「外」・「線」と書いて「紫外線」。なぜ紫外線というのでしょうか?

正解は「人間が見える光りのうち、紫色の外側に位置する光線だから」!

増田:虹=レインボーをイメージしてください。7色ですよね。色は、虹の上側から、赤、オレンジ、黄、緑、青、藍、紫。それが人間が見える範囲の光です。見ることができるので可視光線と言います。

ここからはちょっと専門的で、光の色は、波長と言って光の波の長さで決まるんですが、その波長が紫より短い、つまり、「紫」で見える範囲の、「外」側にある光線だから「紫外線」と言われるんです。紫外線は、人間には見えない光なんですね。

英語だと、ウルトラ・バイオレット・レイ、と言われます。

ウルトラとバイオレットの頭文字をとってUV。ウルトラというのが「超」「超えて」という意味。バイオレットが「すみれ色」=「紫」なので、紫の光線を超えてという意味。日本語の紫外線と同じ考えですね。

ちなみに、目で見える光のうち、紫の、外側にあるのが紫外線。では、虹を思い出してください。一番下が紫。一番上は?…赤です。赤の外にある光は?…そう赤外線です。

太陽の光とひとことで言っても、目に見える光=可視光線、だけじゃなく、紫外線や赤外線など見えない光も降り注いでいます。そのうち、紫外線がお肌とか我々の体に影響するわけですね。

なぜ紫外線を浴びると日焼けするの?

増田:紫外線も、殺菌効果があったり、ビタミンDを作ったりするのに必要ですが、みなさんご承知のように、浴びすぎると有害になってしまうわけですね。

紫外線を浴びると、皮膚でメラニン色素がつくられます。

このメラニン色素というのは、太陽光線を吸収して、体をダメージから守るためのもので、一種の体の防衛反応なんですが、メラニンは黒い色素なので、日を浴びてたくさん作られると肌が焼けてしまうわけですね。

そんな紫外線で日焼けしないために3つのポイントをおさえておきましょう!

①気温と紫外線は関係ない

増田:紫外線といえば、夏の日差しの強い日に気をつけるというイメージがありますが、気温の高い低いと紫外線の強さは関係ないんです。冬山の登山家の方を思い出して下さい。氷点下の世界から下山してくると、真っ黒に日焼けしていますよね。ですので、もちろん、秋でも冬でも日焼けはするんです。

Q:でも、夏に焼けやすいというイメージがありますよね?

増田:確かに、夏は焼けやすいんです。それは、気温が高いから焼けるのではなく、太陽が高いところ、上から照りつけるからなんです。地球上の空気の層って、暑さが100キロメートルくらいです。太陽の光が上から照り付けると、紫外線をカットしてくれる大気層を通る距離はざっくり100kmくらいしかありません。でも、冬になって、太陽の光が斜めから差してくると、大気層を長い距離通過してくるので、そのぶん紫外線がカットされます。

夕方、日が沈む時をイメージしてください。太陽が、西の空に沈んで、横から太陽の光が差してきますよね。横から光が差す、横=水平方向で考えると、何百km、もしくは千km以上の距離の大気のなかを太陽の光が通ってくることになります。

季節の変化で考えても同様で、冬とかに太陽の高度が低くなると、斜めから光が差し、そのぶん大気のなかを通過する距離が長くなって、紫外線がカットされるわけですね。気温と紫外線の強さは関係ないということは、5月とか初夏に気温が低い日でも、日が照っている時は油断できないということです。

②日焼けしやすい場所(スポット)を覚えておこう

増田:特に、日焼けしやすい場所というのがあります。川や海など水辺は水面からの反射で焼けやすい。太陽からの直接の光に、反射のぶんも加えて、紫外線は10%~20%増しと言われます。海は特に気をつけたいんです。海面からの反射もあれば、砂浜からの反射もあります。砂浜からの反射で、さらに10%~20%増し。街中でも、コンクリート・アスファルトの反射で10%増しと言われます。

ここで、再びクイズです!

スキー場や雪山は実は日焼けしやすい。。。というのはご存じの方も多いかもしれません。

その日焼けの量は何%増しでしょうか?

正解は「80%増し」

増田:スキー場、雪山も焼けやすい。新雪が一番焼けやすい。80%増しというデータが出ています。雪面で反射するために、実はすごく焼けやすい場所なんです。大学時代スキー部だった小笠原さんは実感がありますよね。

さらに、標高が高い山の上は焼けやすいんです。標高が1000Mあがるごとに紫外線は10~12%増します。空気が薄くなり、紫外線をカットしてくれるチリ・ホコリが地上から上に離れれば離れるほど減るため、ダイレクトに紫外線が注ぎます。標高の高いところに住んでいる人は、常に紫外線に多くさらされています。

あと、気をつけたいのが日陰です。日向に比べれば焼けませんが、日向の半分の紫外線を浴びています。これからの時期、日なたに30分もいれば焼けてしまいますが、日かげでも1時間いると赤みが出ることになります。

また、室内にいても紫外線を浴びています。窓から入ってきます。環境省によると、年間で屋内・屋外で働く人を比べると、屋内の人も屋外の1/5~1/10は浴びていると言われます。特に窓に近いと紫外線が多くなるので、会社の席が窓に近い方は気をつけて!

③ここ30年で紫外線の量は増えている

増田:気象庁は90年代から紫外線を観測していますが、ここ30年で、日本国内で紫外線の量は増えています。紫外線を吸収してくれるオゾン層は、90年代までは減っていて問題になりましたが、今はフロンガスの制限などでオゾン層がゆるやかに復活してきています。なので、紫外線は減るはずなんですが、増えている。

理由は、空気がキレイになっているから。昔は大気汚染がひどく、大気中のチリ・ホコリがかなり増えてましたが、その大気汚染が改善された。それはもちろん良いことなんですが、実は、大気中のチリ・ホコリは紫外線をさえぎる役割をしています。そのさえぎるチリ・ホコリが減ったため、紫外線が90年代より増えているわけです。90年代→2020年ぐらいで5~10%増えているとみられます。

Q:紫外線対策は何をすればよいでしょうか?

増田:対策は、やはり、焼けやすい場所にいない。

衣服や日焼け止めで防護する、です。

日焼け止めを塗る頻度は、2~3時間に1回、塗り直すのが良いと言われます。

僕も、日焼け止めは、塗るようにしているんですが、少年野球のコーチの時は、塗っても汗でとれちゃうし、すぐ塗り直せない。そうすると、やっぱり焼けます。汗をかいた時は、頻繁に塗るのが良さそうです。

あと、日焼け止めを塗り忘れやすい場所があって、一つは耳。キャップタイプの帽子をかぶっていても、剥き出しになっていますし、紫外線が上から来るので、無防備だとどうしても焼けてしまいます。あと、アゴの下も要注意。水面や地面など、下から紫外線が反射してくるので、日傘をさしていても防げないですから、日焼け止めを塗り忘れないようにしたいですね。

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