浅草駅から約20分、三ノ輪駅から約12分にある、伝統的な日本建築が目を引く「土手の伊勢屋」。かつて吉原遊廓が栄えた場所にお店は佇みます。決してアクセスが良いとは言えませんが、連日行列が絶えない超人気店。
創業は明治22年。現在のお店は昭和2年に建てられた当時のままで、登録有形文化財に認定されているようです。第2次世界大戦時、お店のある界隈はほぼ焼け野原になったのにもかかわらず、偶然にもその戦火を免れたのだそう。
店内はお座敷席とテーブル席。昭和にタイムスリップしたような情緒ある雰囲気が漂います。
お品書き。天丼は天ぷらの種類や量によって「イ、ロ、ハ」と分けられています。
お吸い物。さっぱりしながらも奥深い繊細なお味。
穴子、イカのかき揚げ、海老一本、野菜二種が乗った「ロ」を注文してみました。大きな穴子天は丼からはみ出ていて、目を奪われるほどの豪快感! 香ばしい香りと見事な揚げ色が食欲をそそります。
朝〆を使用しているという鮮度抜群の穴子はふんわり柔らか。素材の中心まで熱を通しすぎておらず、完璧な揚げ具合。カラリとした食感の衣に長年継ぎ足した伝統の濃い目のタレが、絶妙に絡み合います。ボリューム感がありながらも、衣が軽い仕上がりで胃もたれしません。
また天ぷらだけでなくご飯もおいしい。お米一粒一粒がツヤツヤしていて、やさしい口当たり。天ぷら、ご飯、タレと伝統の技が光る至福の天丼でした。
創業明治22年、下町の誇る「土手の伊勢屋」。五月病でちょっと疲れを感じたら、有形文化財の趣ある店内で豪快な天丼を堪能してみてはいかがでしょうか?
[土手の伊勢屋]
[All photos by Nao]