
死刑囚表現展2020(筆者撮影)
刑の執行を待つ死刑囚達の書いた、絵画や詩などを展示する「死刑囚表現展2020」が開催されました。このニュースに対し、開催への批判的な声が集まっています。何かを感じることができるのか、果たして無意味なのか、実際にいってみました。
会場となった松本治一郎記念館の会議室には「絶対に見に行かない」というネット上の声とは裏腹に、少なくない観覧者が集まっていました。
入口付近に並んでいたのは、福岡県大牟田市で母子とその友人4人を殺害した井上孝絋死刑囚の「叶わぬと知るも追いたる夢半ば」という書がありました。これについては、夢半ばで殺されてしまった被害者の心情を語ったのか、夢がありながら死刑が確定している自身の状況を語っているのかは定かではありませんが「人を殺すのは蚊を打つのと同じ」と話す様から想像すると前者であり、被害者感情を逆なでするようなものであることは間違いありません。
また、多くの方の記憶にも新しい、津久井やまゆり園で19人もの人が殺害された事件を起こした植松聖死刑囚の書も展示されています。そこに書かれているのは、植松死刑囚がこれまでにも繰り返してきた、障がい者への差別的な主張。私たちには理解の及ばない狭隘な優生思想に溢れていて、これについては、被害者家族もはっきりと「贖罪の気持ちがない」と失望を示しています。
この展覧会を主催しているのは死刑廃止を訴える「死刑廃止のための大道寺幸子・赤堀政夫基金」という団体。展示作品の中には、大阪で中学一年生の男女が殺害された事件を起こした山田浩二死刑囚のイラストがあり、そこには、絞首台と自身の姿が、率直に死を恐怖している描かれ方をしています。これは、廃止論の拡大を狙ってのことだと考えられます。