漫画『進撃の巨人』の作者・諫山創さんの出身地、大分県日田市大山町の第三セクター“おおやま夢工房”が『進撃の梅酒』と『進撃の完熟梅飲料ビブラート』を商品化した。諫山創さんも『進撃の巨人』のキャラクターをラベルに使うなど全面的に協力したものだ。
彼はブログで故郷・大山町の思い出や地元の現状を伝えながら、今回の企画に協力したいきさつを明かしている。

“元祖日田焼きそばの想夫恋”のキャッチフレーズで知られる、大分県日田市に本社を置く焼きそば専門の外食チェーン“想夫恋”。諫山創さんのブログ『現在進行中の黒歴史』によると、その“想夫恋”大山店でアルバイトをしていたそうだ。「当時は本当に使えないバイトでしたが、とてもよくしてもらっていました。ここで皿を洗いながら物語を考えてたりしました」というから、彼の作品のアイデアが生まれた場所でもある。

進撃の巨人』によって人気漫画家となった諫山創さんだが、故郷の日田市に対する感謝は薄れることが無い。
昨年の8月9日にさかのぼるが、彼はブログで「僕の地元、大分県日田市大山町にある温泉宿泊施設『ひびきの郷』の宣伝をさせて下さい」と『進撃の梅酒』が商品化されるまでの経緯を綴っているのだ。

大山町で18歳まで過ごした彼は、山々に囲まれたその町での暮らしを窮屈に感じ始めた。その心境は「いつかこの壁の外に出て広い世界に~」といった進撃の巨人の主人公の行動原理に似ている。諫山さんは「この大山町が、進撃の巨人の舞台になってるのです」と当時を振り返った。

漫画家を目指して町を離れて都会に出た彼だが、「きつい時に思い出すのは、子供の頃の大山町の自然、山や川で遊び尽くした日々のことばかり」だという。そんな様々な思い出のある大山町が、2012年7月の九州北部豪雨による被害で景気が低迷していることを知る。
過疎化の町を救う切り札である温泉宿泊施設『ひびきの郷』も、豪雨被害のイメージから客足が遠のいているという。

大山町にある諫山さんの実家は梅の栽培農家である。近年は梅の需要が減って、買い手がつかずに困っていた。そこへ『ひびきの郷』に梅酒工場ができたので梅を出荷する当てができ、町も元気を取り戻した。ところが、その『ひびきの郷』への客足が減っており、またしても栽培した梅が余ってしまう状況となった。

諫山創さんは「この地元の状況を受け、自分に何かできないものか」と思い立って、『進撃の巨人の原画展』を開催している。
それでも彼は「いや、まだ何かできるだろう」とさらなる対策を考えていた。「自分が進撃の巨人を作るに至ったこの町に、漫画アニメのブームがある今のうちに、何か恩返しができないものか」と思案し始めたのが昨年の8月だ。

それから数か月後の2014年2月15日に、『豊後・大山 ひびきの郷』で『進撃の梅酒』『進撃の完熟梅飲料ビブラート』の販売開始が伝えられた。

“巨人の故郷オオヤマからの進撃”、“一滴残らず駆逐してやる! 作者の故郷ウォール・オオヤマ産梅使用 進撃の梅酒”、“調査兵団御用達! 進撃の梅果汁飲料”そんな商品コピーから諫山創さんが故郷を思う気持ちが伝わって来る。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉