心身の成長が著しい思春期に、自分はどれくらい背が高くなるのだろうと想像してみる男の子は多いはずだ。だがもしもマリファナを吸うような生活を送っているとしたら、その期待は大きく外れる可能性がある。
マリファナと身長についての意外な調査結果が発表され、物議を醸している。

2013年の調査で、イギリスの11歳~15歳の25万人の少年がマリファナを吸っていることが判明しているが、思春期の少年がマリファナを吸うような生活を送っていると、その子が本来伸びるはずであった身長に届かなくなる。こんな調査結果が発表され、世界各国で進む大麻合法化の動きに対する慎重論があらためて飛び交っているもようだ。

このほどダブリンで開催された「欧州内分泌学会議(European Congress of Endocrinology)」において、“マリファナは思春期の早めの発現を刺激する作用があるが、最終的には体の成長に歯止めをかけている。マリファナを吸っている子と吸っていない子では、いずれ身長に大きな差が出る”と発表したのは、パキスタンの「Pir Mehr Ali Shah Arid Agriculture University」という農業大学のSyed Shakeel Raza Rizvi博士が率いる研究チーム。思春期にある計437名の少年(うち半数がマリファナに依存)の協力を得て、テストステロン、黄体化ホルモン、成長ホルモン、コルチゾールなどの値を測定しながら身体の観察が続けられたという。


するとマリファナを愛用している少年のグループは総じて性腺刺激ホルモンの一種である黄体化ホルモンが増加し、成長ホルモンの数値が低下していることが判明。その影響を受けてか、マリファナとは無縁の生活を送っている少年と比べると20歳時の体重は4kg軽く、身長にいたっては11.7cmも低いことが判明した。またかなりの依存度を示している10名について、ストレスにより大量に分泌されるといわれる副腎皮質ホルモンの一種、コルチゾールの値を計測したところ総じて高いことが判明。このホルモンは脳の海馬を萎縮させることがわかっている。

マリファナがもたらす影響についてラットによる実験結果は多数発表されているが、成長期の少年に注目した調査研究は非常に珍しいという。近年、世界各国、各地で医療用ばかりか嗜好用としての大麻の合法化が進んでいるが、この調査結果を見る限り、本当にそれでいいのだろうかという気がしてならない。
一旦緩めた規制を再び締めることは非常に難しいはずだ。

※ 画像はtelegraph.co.ukのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)