母親が夫の暴力に相当悩んできたことを知っている娘2人。幼い心でどうにか母親を助けたいと思っていたのだろう。
このほどアメリカで、母親が車で父親をひき殺すという事件が起きたが、娘たちの咄嗟の行動により不起訴処分になったとして話題を呼んでいる。

米オハイオ州のピッカリントン市で4日夜、小学校の教師をしているアンジェラ・ルーク(40)という女が車で夫をひき殺して身柄を拘束された。故意であった可能性を視野に保安官が事情聴取を行った中、見えてきたのは夫妻の小学生である娘たちの「被害者はむしろ母親の方」という切ない訴え。これによりフェアフィールド郡検察当局は起訴猶予処分と決めたのである。

家の中から911通報をした12歳の娘は、「ママにもう近づかないで! 離れてよ! この男はママの首を絞めて殺そうとしているの!」と泣き叫んでいたという。粗暴な父親に母と自分たちは普段から苦しめられていたと訴え、精神的パニックと闘いながらオペレーターとの電話を切ることなくその会話は17分間にもおよんでいる。


9歳と12歳の娘はお酒に酔ってアンジェラに暴力をふるう父ダニエル・ルークから逃げるため、アンジェラの運転する車の後部座席に逃げ込み「ママ、急いで!!」と絶叫。その後父親が発進しようとする車にしがみつき、勝手に転がり落ちたと説明した。「パパは死んじゃったわ。ものすごい出血よ」と叫ぶ様子も録音されていた。

これまで何の犯罪歴も持たないことから、起訴猶予処分と決まったアンジェラはピッカリントン・ローカル教育学区での勤務に戻ることができた。学区の広報担当者も「その通報の録音内容を聴けば、不起訴処分および学校長の判断がいかに正しいものであったかが理解できます」と述べている。
だがフェアフィールド郡検事当局が事件について捜査を継続するつもりであることから、大陪審が今後に起訴する可能性はなきにしもあらずだという。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)