病と障がいを抱える祖母にとって恐らく最後の旅となるであろうと思った家族は、祖母が少しでも快適な空の旅を過ごせるようにとビジネスクラスの航空券を購入した。ところが帰りの便でユナイテッド航空のCA(客室乗務員)から強制的にエコノミー席へ移動させられるという事態が起こり、家族は怒りを露わにしている。
乗客に対して相次ぐ不誠実な対応を見せる同航空に「ユナイテッド航空はもう運航停止にすべき」との声もあがっているようだ。

つい先月、レギンスをはいた10歳少女の搭乗を拒否したことが報じられたばかりにもかかわらず、今月にはオーバーブッキングとなった医師を座席から力ずくで引きずり下ろすなどして世間の怒りを買い、なにかと問題視されているユナイテッド航空。その同航空がまたも搭乗客を不快にさせる事態を起こしていたことが明らかになった。

英紙『Mirror』など複数メディアは、マリアン・サントス=アギラールさんという女性が3月1日に投稿したFacebookの詳細とともに機内で起こった出来事を伝えている。

マリアンさんによると、オーストラリア・メルボルン在住の祖母パズ・オルクイーザさん(94歳)が深刻な関節炎と首に退行性骨疾患を抱えていることから、飛行中を少しでも快適に過ごせるように3600ドル(約39万円)のビジネスクラスのエアチケットを家族で出し合って購入したという。

メルボルンから米ロサンゼルスまでの飛行中は、CAが行き届いたサービスをしてくれたおかげで何の問題もなかったが、帰路の機内でパズさんは耐え難い苦痛を強いられた。


16時間という長旅のために家族が配慮して祖母に与えたビジネスクラスの座席であったが、なにぶん94歳で疾患を抱えているためにどうしても祖母の世話をする必要がある。そこでエコノミークラスの座席を購入していたパズさんの娘ローズさんが、行きの便と同じようにビジネスクラス担当のCAに「飛行中、母の手助けをしてもいいか」と訊ねた。それは運ばれた機内食の蓋を開けたり座席を倒したりする程度の介助だったが、ショーナというCAはそのリクエストを拒否した。

そこでローズさんが「では、あなたが代わりにしてくれるのか」と聞くとCAはそれも拒否したという。そして「この乗客が、あなたの介助を必要とするのであればエコノミークラスに移動させるか、あなたが別の便でビジネスクラスを購入して一緒に座るかどちらかだ」と言われ、ローズさんはあまりにも無慈悲なその対応にショックを受けた。

そして選択の余地がなかったローズさんは、泣く泣く母親をエコノミークラスに移動させたそうだ。
しかし健常者にとっても長旅となると窮屈なエコノミークラスの座席に、障がいを持つパズさんが座り続けることは苦痛でしかなかった。

飛行機がメルボルンに到着する頃にはパズさんの両脚は腫れあがり、体のあちこちに痛みを訴え、持病を抱えていた首にも耐え難いほどの痛みが襲っていたという。マリアンさんは自身のFacebookで「普段は寝たきりになっていることがほとんど」だという祖母への思いやりが差別という形で拒否されたことに怒りを露わにし、起こった出来事のシェアを求めた。

「ユナイテッド航空は恥を知るべきです。障がい者やお年寄りに差別をすることは“航空アクセス法”に違反しています。今後、私の祖母のような目に遭う人が出ないためにもこの出来事をできるだけ多くの人にシェアしてもらいたいと思っています。」

家族が、生涯最後となるであろう祖母の旅にと購入したビジネスクラスでの旅。
しかしそれは、パズさんや家族にとっても最悪の思い出となってしまった。しかもパズさんのビジネスクラスの座席には、アップグレードを希望した別の搭乗客が移動したということをローズさんは他の乗客から聞かされた。

その後、事態を知ったユナイテッド航空側はパズさんに500ドル(約55,000円)の旅行券を送付した。だがマリアンさんは「今後使う予定はありません」と話している。また現在、マリアンさんら家族がパズさんのために支払った3,600ドル分のエアチケットのうち、860ドル(約9万3000円)のみの返金手続きが進められている最中だそうだ。

なにかとトラブルが絶えず、断続的に世間の反感を買うような出来事をユナイテッド航空が起こしている事実に対し、世間からは「こんな航空会社訴えろ」「本当に運行を廃止にすればいい」「良心的な航空会社とは決していえない」「みんなで搭乗をボイコットすべき」といった批判が相次いでいる。


出典:https://www.facebook.com/marianne777
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)