刑務所生活ほどみじめで苦しいものはない。法曹界の人々は1人でも多くの市民に「罪を犯せば投獄される、そんなのはまっぴらゴメンだ」という刑務所内の厳しい現実を知って欲しいと考えているが、そんななかで米ミネソタ州のある刑務所がとても興味深い企画を発表した。
獄中生活を1日体験してみて欲しいというもので、なんと志願者が殺到しているそうだ。

『WCCO CBS Minnesota』などが報じたところによれば、一般市民を対象とした「刑務所の1泊体験入所希望者を募集」なる広告を出したのは、ミネソタ州シサゴ郡に約25.8億円を投じてこのほど新しく建設された「CHISAGO COUNTY PUBLIC SAFETY CENTER」。犯罪の抑止力とするべく、市民に辛い刑務所生活を1日でも体験してもらおうという狙いがあるものと考えるが、当局によればそれはどうやら2番目の理由で、ほかに大事な目的があるそうだ。

『WCCO-TV』の取材に、「ほかの施設で服役中の受刑者がここに移管となる予定です。新しい施設だけに火災など非常時の避難、脱獄などを決して許さないセキュリティ体制、調理器具類、防犯カメラの監視状況、受刑者とスタッフが通話するための通信機器など、施設内のすべてのシステムが万全であるか事前に念入りにチェックする必要があるためです」と説明するシサゴ郡刑務所のクリス・トーマさん。そこで、シサゴ郡在住の18歳の善良な市民に“受刑者役を演じてもらおう”ということになったのだ。


ただし、この刑務所体験入所は無料ではない。食事を含む経費として20ドルを刑務所に、また関連慈善団体に20ドルの寄付をということで、希望者は1泊40ドルを支払わなければならないと説明された。ほとんどの時間をコミュニティルームで過ごすことになるが、夜間はそれぞれが硬いベッドと便器がやけに目立つ監房に収監され、翌朝の“身柄の釈放”まではそこで我慢してもらうという。こんな条件にもかかわらず募集広告はSNSでブレイクし、24時間以内で100人を超える応募者があったそうだ。

またトーマさんは、「参加者の入所手続きに関しては、一般的な受刑者に対するのとまったく同じやり方で行う予定です」と述べている。そこは非常に居心地の悪い世界で美味しい料理を出すホテルではない。
また刑務官らにとっても真剣な予行演習の場であるため、たとえ善意で協力してくれた市民が相手でも不愛想極まりない対応となるもよう。参加者は覚悟して臨んだ方がよさそうだ。

画像は『WCCO CBS Minnesota 2018年4月12日付「Want To Spend The Night In A Brand-New Jail? Here’s How You Can」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)