飲食店での食い逃げは、警察に通報される立派な犯罪行為である。しかしそれを「仕方がない。
腹が立つけれど私が支払うしかないわね」と“連れ”の者が黙って支払ってしまうとしたら…!? なんともずる賢いことを考えたと言うほかないこの犯人。表沙汰にならなかったケースを含め、米カリフォルニア州では相当の食い逃げ事件が発生しているようだ。

カリフォルニア州のメディアがこのほど、女性たちを食い物にしながら「食い逃げ事件」を重ねているパサデナのポール・ゴンザレスという男の顔写真を大きく公開し、人々に警鐘を鳴らした。『KCAL 9』『WOWK-TV』などが伝えたところによれば、ゴンザレスによる食い逃げ行為は3年かそれ以上にわたり続いているもようで、被害に遭ったのはいずれも出会い系アプリで知り合った女性たち。レストランでのデートに誘われるも、あらかた食べ終わったタイミングでゴンザレスは携帯電話を理由に席を外し、そのまま姿を消していた。アプリでは偽名を使い分けていたこともわかっている。


なかなか戻らないゴンザレスに「ハメられた」と気づくが、出会い系を通じて知り合ったばかりで相手のこともよく知らないことから騒ぎ立てることもはばかられ、黙って2人分の食事代金を支払って店を出たというある女性。彼女はロサンゼルスのメディア『KCAL 9』にその時の様子をこんな風に話している。

「私とあの男は素性を隠してのブラインドデートをしたのです。美味しいディナーとコーヒーを2杯飲んだところで男は重い病気を患っている叔母のことを心配そうに話しはじめました。そしてある時、『携帯電話のバッテリーが切れそうだ。車から充電器を取ってきていいかな?』と尋ねられ、それを取りに行ったまま男は姿を消してしまったのです。
130ドルというお勘定は私持ちとなりました。」

高級レストランからメキシカンレストランまで、毎回デートの場所はゴンザレスが食べたいと思う店を選んでいたのだろうか。ワイン、エビ料理、牛のフィレミニョン、サラダ、ポテト料理などを堪能すると「重要な電話だからちょっと失礼」などと言って席を立ち、ゴンザレスはそのまま行方をくらましていた。女性たちも自尊心が許さないのであろう。多くが悔しいけれど黙って勘定を済ませ、店を出たものと考えられている。

カリフォルニア州のケリー・チャン・リッカート弁護士は今、「警察にて調書を作成してもらい被害額を明らかにしてゴンザレスに請求するように」と被害者たちに呼びかけているが、これまで被害が判明したのはたった5名だそうだ。また、ゴンザレスに対しては「あなたに有罪判決が下った場合ですが、仮に被害額が950ドル未満であれば6か月の禁固刑あるいは1,000ドルの罰金刑で済まされるでしょう」と呼び掛けている。
この図々しくずる賢い男は果たしてここで自供することを考えるか、それとも土地を移動しながら女性との出会いと美食を延々と求めていくのであろうか。

画像は『WOWK 2018年5月9日付「Serial ‘Dine-and-Dash Dater’ leaving women with restaurant bills」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)