1966年6月29日、イギリスのバンド「ビートルズ(The Beatles)」が来日した。グループとしては最初で最後の来日である。
それを記念してビートルズの楽曲を手掛けるEMIミュージック・ジャパンが「ビートルズ記念日」を制定したものだ。

羽田空港で日航機のタラップにハッピを着たビートルズのメンバーが現れる映像は、今でも様々なテレビ番組で取り上げており、爆発的な人気で世界各地のファンを熱狂させるバンドの初来日はそれほど大きな出来事だったことが分かる。

そのビートルズに何かあっては、国の責任さえ問われかねない。そこで混乱を避けるため高速道路を一時通行止めにしてビートルズをホテルまで送り、メンバーは外出を許されぬ缶詰状態、一般人は近づけなかったほどだ。

警備の動員数などいろいろなエピソードがあるなか、なにより後に大きな影響となったのは6月30日、7月1日、2日と3日間で昼夜全5回行われた日本武道館公演だろう。

当時、ビートルズがコンサートを行う会場として適当な施設を探したところ、武道の聖地でロックコンサートをやろうという大胆な発想になった。
一部から反対する声もあったが、関係者の判断により初めて日本武道館でロックコンサートが開催されたのだ。

ちなみに来日したばかりのビートルズは、東京ヒルトンで行われた会見で「公演に日本武道館を使用するのは武道の精神に反するという声もあるが」とマイクを向けられた。

するとポール・マッカートニーが「僕たちの国にも伝統はある。もし日本の舞踏団がイギリスの王立劇場に出演しても、イギリスの伝統を汚すことにはならない」と答え、ジョン・レノンは「少なくとも取っ組み合いより平和的さ」と彼らしく皮肉った。

今ではアーティストにとって日本武道館公演は目標の1つになっているが、もしビートルズが来日していなければそうはなっていなかったかもしれない。

画像は『The Beatles 2018年6月12日付Instagram「#OTD #1965 #TheBeatles are named to the Order of the British Empire on Queen Elizabeth II’s birthday honours list.」(Photo (C) Apple Corps Ltd.)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉