米国務省が「人身売買報告書」にて中国の評価が最下位だったことを昨年に発表したが、未だこの国ではインターネットを通じて子供の売買が行われている。しかしながら純粋に養子を迎えたいと思い、違法とは知らずにオンライン・ブローカーから高額を支払って子供を引き取る人もいるというから驚きだ。
『South China Morning Post』などが伝えている。

安徽省池州市に住む43歳の女(名は伝えられていない)は、養子を迎えるべく長年にわたり、赤ちゃんを探し求めていた。そして見つけたのが、遺棄されたり育児放棄された子供たちの養子縁組をインターネット上で斡旋する「realise their dreams」というオンライングループだった。

女はそのグループに参加して情報のやり取りを進めていくことにより、念願だった赤ちゃんを養子に迎える準備を整えた。そしてオンライングループの管理者に70,000元(約116万円)の支払いを済ませた後、浙江省で会う約束をとりつけ、生後4か月の女児を引き取るという手はずとなっていた。

しかし喜び勇んで現場に向かった女は、そこで愕然とする事態に陥った。
彼女は自分の兄弟を伴って約束の場所にやってきたが、待ち構えていた警察官に斡旋業者も含め全員が逮捕されてしまったのだ。女はこの時まで自分のしたことが違法であることに気付かなかったという。

後の警察の調べによると、この生後4か月の女児の実の母親は斡旋業者に我が子を託す際に「なるべく経済環境の良いところへ譲渡してほしい」と要望していたという。しかしこの母親は、譲渡の際に里親から金銭の受け渡しが行われ、斡旋業者が利益を得ることになっていたとは知らなかったそうだ。

また今回逮捕された女は、中国のメディアに次のように話している。

「これが違法だと知っていたら、この業者に依頼しませんでした。
私は犯罪とは縁のない普通の人間です。これまでも友人や親戚がお金を支払って養子を迎えているところを見てきました。なので私も同じようにしたまでです。」

中国では政府の民政部による公式な養子縁組のシステムを利用することも可能だが、手続きがあまりにも面倒なうえに時間がかかりすぎるとのことだ。

かつて一人っ子政策が施行された頃に、2人目として生まれてしまった子供や貧困のせいで育てることができずに親が手放したりした子供達を、養子縁組と称してインターネットを通じて売買する違法なブローカーが現れたが、それが長年にわたり横行しているという。

画像は『South China Morning Post 2018年9月25日付「Chinese woman arrested trying to buy a baby over the internet for US$10,000」(Photo: 163.com)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)