テネシー州ブラッドリー郡クリーブランドに住むクリスタ・デイヴィスさん(23歳)とパートナーのデリック・ラヴェットさん(26歳)は、クリスタさんが妊娠18週の時に医師からショッキングな宣告を受けた。
それは、お腹の胎児が無脳症であることだった。頭蓋骨や脳が正常に発達せず、その一部もしくは大部分が欠如していることから医師に「赤ちゃんは生まれても、30分も生きられないでしょう」と伝えられ、カップルは愕然となった。
実は、クリスタさんは過去にも流産という辛い経験をし、妊娠が困難な状態だった。
クリスタさんとデリックさんは後者を選択。お腹の娘が無脳症とわかった後も、普通にマタニティーフォトを撮り、「どんな姿で生まれてきても、お腹の中にいる間は大切に育ててあげたい」という気持ちを持って、できる限り妊娠生活を楽しむことにした。
そして昨年12月24日、クリスタさんは妊娠40週と2日目でライリー・アルカディア・ダイアン・ラヴェットちゃんを出産した。医師からは、へその緒を切ると無脳症の赤ちゃんはすぐにでも死ぬ可能性があると言われていたが、ライリーちゃんは医師の言葉を裏切り、1週間生き続けた。
「娘が生まれた瞬間、愛おしさで胸がいっぱいになりました。これまで自分が生きてきて、誰にも感じたことのない気持ちでした。我が子を産むということは、これほどの愛情が湧くものなのかと思いました。娘は、生まれてから一度も泣き声をあげることはありませんでした。
その後、ライリーちゃんの両肺は研究病院へ提供され、心臓弁は「Tennessee Donor Services(テネシー州ドナーサービス)」を通して2人の赤ちゃんに移植された。愛する娘の死から1か月半が経った現在、クリスタさんはメディアでこのように心情を吐露した。
「娘を失ったという事実は、今でも耐え難く辛いままです。でもこの1か月間、娘のことをシェアし、同じ状況にいる母親たちの救いになれたことはよかったと思っています。それに何より、娘の臓器によって他の子供2人が生きるチャンスを与えられたことを嬉しく思います。私たちの娘が、どこかで誰かの体の一部となって生きていると思えるのは素晴らしいことです。6か月後には、娘の臓器が誰に提供されたかを知ることができるということなので、とても心待ちにしています。」
画像は『Inside Edition 2019年2月11日付「Mom Carries Terminally Ill Daughter to Full Term to Donate Her Organs」(C. Tilley Photography)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)