妊娠中の女性であれば、幸せを感じながらお腹の赤ちゃんの誕生を待ち切れない日々を過ごすことであろう。しかし中には胎児の健康に致命的な欠損があると判明し、泣く泣く出産を諦めた女性もいる。
ところがこのほどイギリスで、脳が僅か2パーセントの状態だと知りつつも出産に臨み、生まれた我が子と幸せに暮らす家族の話題が届いた。『The Sun』『New York Post』などが伝えている。

英北西端に位置するカウンティであるカンブリアに住む6歳のノア・ウォール君(Noah Wall)は、父親のロブさん(Rob)と母親のシェリーさん(Shelley)とともに英情報番組『Good Morning Britain』に出演した。この幸せそうな家族がたどって来た過去に、多くの視聴者が関心を寄せた。

実はノア君がまだシェリーさんのお腹にいた頃、脳が2パーセントしかなく無脳ともいえる状態で、さらに二分脊椎症による脊髄骨が形成不全のため、医師からは出産しても存命することが難しいと言われていたのだ。

そのため当時、医師らから5回ほど中絶を勧められたという。
しかしウォール夫妻は、子を授かる年齢にしては多少高齢だったこともあり、中絶には踏み切れなかったという。父親のロブさんは、当時を振り返り「私達はもう若くないので、自分達の決断はすでに決まっていました。私達はノアに命のチャンスを授けたいと思ったのです」と明かした。

そして出産の時、夫婦は「もし心臓が止まっていた状態で生まれた時は蘇生はしない」と決心し、6年前の11月11日午前11時にノア君を出産した。この時、医師から「重度の精神障害を持っており、話す、見る、聞く、または命を繋ぐのに重要な食べるという行為もできず、二分脊椎症により長くは生きられない」と告げられた。

当時はほとんどの医師が、ノア君の脳が発達することは無いと決定づけていたようだ。
しかしノア君の僅か2パーセントの脳が今後は発達することに賭けて、成長する脳が骨髄液などで圧迫されないようにシャントを設置した。

するとノア君の脳に奇跡が起きた。3歳になる頃には、脳が全体の80パーセントまで成長したのである。医師らは、出生時に脳は小さなスペースに押し込められていたが、シャントを設置したことで正常に近い状態まで発達したのではないかと見ている。また、決定的な精神的発達障害も見られず、現在6歳になるノア君は話すことや聞くこと、食べることもできるという。

まだ歩くことはできないものの、ウォール夫妻はノア君の脳を更に発達させるためにオーストラリアにある「ラジカル・ブレイン・トレーニングセンター(radical brain training centre)」へと連れて行き、理学療法と認知運動療法を取り入れた「ニューロフィジックス(neurophysics)」のセラピーを受けることになった。


ノア君はそこで自力で体を起こす方法やサーフィンまで学び、楽しんだという。今は歩く訓練をしたいと望んでおり、後にサーフィンを極め、スキーも始めたいという目標を持っているとのことだ。



画像は『The Sun 2019年2月20日付「THE BOY WITH ‘NO BRAIN’ Boy born with MISSING brain defies huge odds to live - after ‘it GREW back’」(Credit: REX FEATURES)(Credit: GMB/ITV)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)