米ミネソタ州の写真家ジュリー・カローさん(Julie Carrow)は7月下旬、写真を撮影中にふらりと現れたシカの異様な姿に目を奪われた。ジュリーさんがシャッターを切り、Facebookに投稿されたシカの写真は『City Pages』『Fox News』などに報じられ、シカがある感染症を患っていることが判明した。


写真家ジュリー・カローさんは7月25日、Facebookにミネソタ州パイプストーンで撮影したシカの写真を投稿した。シカの顔や身体の一部は黒紫の大きな腫瘍で覆われており、ジュリーさんは同州の天然資源局(Department of Natural Resources、以下DNR)に「心が痛む。この投稿によりシカが救われるといいのだけれど」とSOSを送った。ジュリーさんによると、シカは特に苦しんでいる様子はなかったものの、顔や首だけでなく胸までが腫瘍に覆われ、目がすっかり隠れてしまっていたという。

この投稿を受けてDNRのミッシェル・カーステンセンさんは、シカの腫瘍について次のように説明した。

「これは線維腫(フィブローマ)という良性の腫瘍です。
州の野生動物ヘルスプログラムに15年間携わっていますが、その中でも最も酷いケースですね。皮膚にできるイボと一緒で、通常は直径1センチほどの大きさにしかならず、時間の経過とともに自然に退縮することも多いのです。痛みもなく、合併症など特別な症状がない限りシカの命の危険はありません。シカからシカへ感染するウイルスで人や他の動物への感染はなく、DNRが線維腫を患ったシカを保護することはありません。」

「腫瘍により視界が遮られたり、呼吸に支障が出たり、移動や食事ができなくなると捕食動物から逃げ切ることが難しくなることは考えられます。その一方で線維腫のあるシカをあえて狙うハンターはいないでしょうね。」

DNRのホームページによると、線維腫はオジロジカ、それも2歳半以下の若いオスに見られることが多いという。パピローマウイルス、またはポックスウイルスによる感染症と見られており、昆虫の咀嚼やすでに感染したシカの傷口に触れたりすることで感染が拡大するようだ。


このニュースに、SNSユーザーからは「ここまで酷い感染症は初めてみたよ」「なぜ助けないのだろう。せめて顔の周りの腫瘍だけでも切除してあげたらいいのに」「野生動物をむやみに保護するのはよくない。シカが増えすぎても困る」「自然の掟に従うべき」「痛みがないことがせめてもの救い」「人間に感染しないから、放っておくのだろうか」「これ以上酷くならないことを祈るよ」といった様々なコメントが寄せられている。

画像は『Julie Carrow 2019年7月25日付Facebook「1) has anyone see this little guy around town and 2) can anything be done to help him. This to me is just heartbreaking.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)